うたかた

子育てをしていると、子ども時代に戻る

　わたしはどうしてあんなに怒られていたんだろう？

　わたしはきょうだいの中で、いつも怒られる役で、とにかくいつも怒られていた。当然、自分はだめな人間だと思っていた。

　高校生のとき、自分でお弁当を作っていた。

　成績はよかった。

　毎日学校にも行っていたし、学校から電話がかかってきたことなんて一度もない。

　大学受験も自分で勉強したし、受験の申し込みも自分でしたし合格発表だって一人で見に行った。高校の合格発表も一人で見に行った。

　大学に行かせてやった。

　お金をかけてやったのに、何が不満なんだ。

　と、言われた。

　忘れられない。

　そうじゃないんだ、ということがどうしても伝わらないんだ、ということを受け入れるのに、時間がかかった。

　わたしには帰る場所はない。

　どこにも。

　わたしは母親のストレスのはけ口だった。

　父親は無関心だった。

　だから、一生懸命、子どもを育てた。

　でも、何一つ伝わっていないのだ、伝わらないのだという絶望がわたしの心を侵食する。

　わたしの人生、なんだったんだろう？

　と思う。