もう好きじゃないんだ

 わたしのこころにはバリアがはられています。

 そこを乗り越えてこようとされると、ものすごい拒否反応を示してしまいます。自分でもどうしようもないくらい。


 わたし、結婚前、「絶対に自分の部屋が欲しい」と言ってあったのです。「ひとりの時間がどうしても必要なんだ」とも。

 もう忘れられちゃったのかな、と思う。


「好きだ」と言われても、大切にされている感じはしない。

 そう言っておけば、機嫌よくなんでもやってもらえると思っているのかな? と思ってしまう。


 わたしの部屋は在宅ルームとなったし、ひとりになる時間を楽しみにしていたのに、「雨だから在宅にする」と言われる。気軽に買い物に行きたくてもついてくる。後ろにいられると、本も選びづらい。昨日は、「たびするバッグ」完成形を送りつけたいひとがいるから(!)、ファイルを複数買ったのです。そうしたら、「どうしてそんなに買うの?」と言われる。

「そういうこと言うから、いやなんだよ」

 と答えてしまった。

 別に大したことはないから、話せばいいのに。


 でも、もうめんどくさくて話したくないんだよ。

 そう、もう好きじゃないの。

 わたしがわくわくすることを話したくないと思う程度には。


 わたしはリビングでカクヨムをしています。

 だから、キッチンで洗い物されても、実はあまり嬉しくない。

 しかも、洗うだけで片付けていないし、鍋も何もかも山積みになっているから、実は面倒なの。

 何度も「やってくれるのは嬉しいけど、これは半分だから、拭いてしまってくれると嬉しい」とか「流しのゴミも片付けてくれると嬉しい」と言ったけど、「それはおれはやらない」と言われるから、もういいやって思って。


 洗い物しなくていいから、そこにいないで欲しい、と喉元まで出かかっていて、言えない。

 それは言ったらまずいと思うから。


 でも、わたしの望むことは何もやってくれない。

 別いいいけど。




 わたしのこころのバリアが厚く厚くなる。

 何重にもなる。





「わたしをさがさないで」

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