ものさし

 人によってものさしは異なる。


 それは違っても構わないと思っている。むしろ、違うのが当たり前だから。

でも、自分のものさしと人のものさしとは違う、ということを認識しておかなければいけないと、わたしは思うのです。


「ごはんを作るのが大変だ」


 うんうんと話を聞いていると、夕ごはんを作るだけらしい。そして、それをタッパーに入れて、家の人が好きなときに食べる、という形式らしい。


「朝ごはんは作らないの。お昼も学食とか、各自買って食べる。しまこさんちも、学食でしょう?」

「お弁当作っているよ。旦那さんの分も」

「え! やめればいいのに」


 うちのお財布では、自由に買って食べていたら、破綻します。

 別に、「お昼は各自で帰る経済力」が羨ましいわけではない。

 わたしは作れる限るはお弁当を作る。

 そもそも、短いお昼休みの間にどこかに買いに行ったり食べに行ったりはめんどうで、お弁当の方が楽な気もするから。


 下の子が中学生くらいになると、働く母親も増え、「三食作らない」人も多い。

 それはそれでいい。

 この間「娘たちが料理を全部やってくれるの!」という羨ましい話を聞いた。いい娘さんに育ったねえ、と思ったし、いい話で嬉しくなりました。



 話が逸れました。

「ごはんを作るのが大変だ」も、実情が違うと共感しにくいと思ったのです。


 ああでもね。

「各自で好きなときに食べる」形式だとね、ずっと片付かないし、例えば、しまこ的超簡単メニュー(キャベツ豚、なんちゃって焼き肉、ハンバーガー等)が作れないから、実はわたしより大変かも? と思いました。


 わたしは梨もりんごも剥かないけど、剥いてタッパーに入れてあげているみたいだし、シャインマスカットも、房からとって洗っておいてあげるんだって。



 わたしは長男次男に、梨やりんごを剥けるよう仕込む計画です。



「ごはんを作るのが大変だ」



 うん、大変だ。

 でも、その「大変さ」は、だいぶ違うな、と思ったのです。

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