頭の中を整理する

 ぐるぐると考えたことって、整理したくならない?

 わたしはなります。

 常に、「なぜ?」を考える。すごく理屈っぽいのです。でもそれがわたしだから、それでいいのだ。

 

 最近、夫によく「かまってくれない」とか「おれのこと、好きじゃないんだ」とか言われる。

 好き?

 好きってなんだろう?

 お風呂に入りながら考えた。

 好きなのかなあ?

 別に嫌いではない。

 ときどき腹が立つけれど、だって仕方がないし。


 実のところ、好きでも嫌いでもない、というのが正直なところのような気がする。

 もしかして、あんまりよくない感情なのかな?

 対外的には「仲良し」だし、いいんじゃないかと思う。それに空気が冷たいわけでもない。これはほんとうに。


 ただ、好きか? と言われると返答に困る。とりあえず「好きですよ」とは答えておくけれど、嘘が見えているのかな? しつこくしつこく言われるから。


 彼がこういうことを言うようになったのは、カクヨムで遊び始めてから。

 わたしはこれまでも何かに熱中することがあったけれど、カクヨムはたぶん、ずっと熱中したままだと思う。何しろ、二十代半ばのときやりたいことが三つあって、そのうちの二つはもうやっていて、人生の中でやりたいことの最後の一つだからだ。

 という話もしていたんだけど、たぶん、本気にしていなかったんだなあ、ということが分かって、わたしはがっかりしたのだと思う。一番わかって欲しかったのだと思う。でもきっと、永久に分かってもらえないことが分かって、わたしのこころは冷えたのだ。


「小説書いたらいいのに」とずっと言ってくれていたけれど、ほんとうに小説を書いて熱中するのは嫌だったんだ、と思う。たぶん。


 まあ、別にいいけれど。

 

 わたしは自分の親にずっと、自分がどんなふうに生きたいか、わたしが何をしたいか、理解して欲しかった。

 でも、それは到底理解してもらえないことだと、分かった。

 永久に理解してもらえないことを認めるのに、とても長い時間がかかった。

 だけど、それを受け入れたのだ、ともかく。


 だから諦めることには慣れている。

 慣れているというか、その方法を知っている。

 どうにもならないことは受け入れて諦めて、鍵をかけていくしかないんだ。堅牢な箱の中に閉じ込めてしまおう。そうしてふだんは笑って過ごすのだ。


 でも、こころは冷えてしまったから、好きか? と言われても、ほんとうに困る。だってもう冷えちゃったんだから。


 ダークサイドなわけではなく、たんなる自分の立ち位置の問題。

 わたしがいま、どこに立っていて、この先どう生きていきたいか。




 わたしの残りの人生なんて、実はちょっとしかない。

 読みたい本が全部読めるかなあ。

 書きたいことが全部書けるかなあ。

 そういう心配をしている。


 文句を言われないようにちゃんとして、それから自分の好きなことをやることにした。自由でいるために、ちゃんとやる。

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