家出をしたい夜明け

 家族が起き出す前に家出をして、まずはファミレスにでも行こうと思ったら

 24時間営業のファミレスが見当たらない。

 コロナめ!

 この前も友だちと「変な時間に家出(プチ家出)をしても、行く場所がない」と

話しておりました。


 やっぱり自分の居場所が欲しいなあ。

 贅沢だと刺されそうだけど、わたしは自分の部屋の鍵が欲しい(夢)。


 ときどき、何もかも捨てて、どこかに行ってしまいたくなる(家出)。

 だって、ほんとうにばかばかしいって思っちゃうときがあるから。




「誰も知らない」という柳楽優弥の映画を繰り返し見ている。

 わたしはときどき、「何もしないでそこにもいなくて、ときどき帰って来て一万円置いていく母親」に憧れる。

「おおかみこどもの雨と雪」も泣ける。




 ときどき。

 結婚しなきゃよかったなあ、とか、子ども産まなきゃよかったなあ、とか思う。

 ある意味、何もかもを諦めてそうしたのに、なんだか刺されるんだよ。

 子どもがかわいくない、とか、そういうのではない。

 ものすごく一生懸命やってきたからこそ、ときどき無力感に襲われて、その暗い深淵から這い上がれないのである。

 だから「誰も知らない」の母親に憧れる。

 わたしもあんなふうに、子どもに無関心でありたかった。

 子どもに無関心で、自分のことを考えて生きてこればよかった。

 そうしたら、こんなに苦しくないのに。


 いったん、ワンオペに突入したら、ずっとワンオペなんだと思う。

「お願いして」やってもらう。

 たぶん、うちは「よくやってくれているよ」と言われる方だけど、でもさ、育児って、二人でするのがそもそも当たり前なのに、どうして男がすると「よくやっている」になるわけ? おかしくない?


 そもそも、このワンオペにならざるを得なかったのは、長時間労働。

 二週間の育児休暇よりも、育児にずっと関われるような、残業しない労働環境を作って欲しい。


 でもさ、気づいちゃったんだけど、「残業出来る」のって「家(子ども)のことは自分がやらなくていい」という前提があるから出来るんだよね。

 在宅勤務だと見え過ぎていけない。

 見えない方がいい。


 ああ、暗い。

 でももちろん人間だから、こうして暗くなったりもする。

 若いときはこんな気持ちのとき、どうしていたかなあと考える。

 例えば、恋人とうまくいかなくなったとき。

 そういうときはたいてい、男友達と出かけていた。

 男友達って、なんかよかった。

 浮気するわけじゃないけれど。


 結婚したときに県をまたいで引っ越してしまったし、実際みな家庭をもったりすると、気軽に会うことは難しくなった。特に男友達とは完全に切れてしまった。



 ものすごく、孤独だなって思う。

 この「母親」の役割って。

 周りは子どもを介した友だちしかいない。友だちなんだけど、独身のときのような気軽さはない。


 結婚していなかったとき、孤独だと思うことがあった。

 でも、今の方がずっともっと孤独だ。


 孤絶している。

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