第41話 やったねぇ!気づいたよぉ!
「うーん……。説明すると、確かにあの亀くんはユニークボス個体……まあ、この階層のボスモンスターなのは間違いないね。でも、名前が……」
コメント
・まあ、あれだけデカけりゃボスだよな
・名前?メジャーなやつだったん?
・狼くんが北欧神話だったし、それ系統か?
・玄武とか霊亀とかありそう
だよね、僕もそう思った。
僕でも知ってる玄武とか、神話ベースにしてるモンスターなら普通にありそうだし。
だって、あんなにキラキラしてる甲羅に巨体。
首が長すぎて亀には最早見えないし、それならまだ神話の怪物とかの方が理解に苦しまずに済んだんだ。
なのに……、
「亀だった。ただの亀。レベル1200の亀」
コメント
・亀ってレベル上げたら衝撃波撃てるようになるんかw
・ネタ切れしてて草
・草
・世迷ワールドに侵食されとるwww
・レ ベ ル 1 2 0 0 の 亀
・亀ってなんだったっけ
・亀は亀です
・あーあ、世迷が変なことするから……
「え、これ僕のせいなの? 創造主に言ってくれない? 誰が創ったか知らんけど。ここに来てネタ枠のボス創るのやめてくれない?」
それでいて倒しづらいとか酷いと思うんだ。
負けイベントのボス並みに酷いよ。狼くんの方が一撃の火力とか敏捷性は高いにしろ、倒すための糸口が亀くんの場合見つからない。
コメント
・《ARAGAMI》ボスモンスターの全員が神話ベースではない。むしろ、神話ベースの方が少ないくらいだ。だが、今回みたいに単一の種族名で記されるモンスターは……ふふっ、くくく、初めて……だwwwwww
・世界2位がツボってらっしゃるw
・最後まで真面目さ保ってもろて
・笑い声までしっかりコメントすな
・《Sienna》草
・6位は手心持ってもろて
・《ユキカゼ》低階層ほど、何かの動物を混ぜたような……所謂キメラのモンスターが多い。深くなればなるほど、パッと見て分かるモンスター……それこそ狼とか兎とか、が多い……?
・唯一の良心
・人って変われるんやな
・変わらざるを得ないの間違い
「そう言われればそうかも。ダンジョンができる前は、スライムとかは空想上の生き物だったらしいしね。亀とか兎とか身近な生物しか会ってない気がする」
なんでかは分からないし、考えても僕が分かるとは思わないからスルー。
あと、アラガミさんはまともなアドバイスを少しはくれた方が良いと思う。最近はスパチャかツボるしかやってないでしょ。
シエンナさんは、たまに見せる優しさをいつも発揮して欲しいね!!
無理か。全員。
「そう考えたらさ。……えーと、その、元は空想上だった生き物が、ダンジョンで具現化? されてるわけでしょ? 何でだろ」
コメント
・知るかよ
・よく頑張って疑問を吐き出したな……知らねぇよボケ
・上げて下げて草
・世界中の研究者が血眼になって解明してることを一般人の俺らが知ってると思うか?聞くな
・《Sienna》当たり強くて草
「あ、そっか。知らないことを知ってるって言われるの嫌だよね。僕は知らないことしかないけど。……そっか、その点において僕と共通してるってことだね! リスナー!」
コメント
・一緒にすんなボケカスがァ!
・知識の密度がちゃうねん
・知らないことしかないだろおめーはw
・違う、そうじゃない
・仲間を作ろうとするな
まあ、いいや。
僕とどれだけ同じが嫌なんだ、とは思うけど、僕も晩酌して笑いながら僕の配信を見てるリスナーと同じは嫌だからね。お互い様ってこと。
……あれ、僕の配信がなかったら、それなりにまともに過ごせていたのでは……? 僕がリスナーを狂わせた……?
素質あったから狂ったんじゃん。
「……一先ず、倒す案もないし、休憩所に戻……りたかったね」
スマホから目を離して亀くんを見たその時、パッチリお目々の亀アイと僕の解像度0%の瞳が合った。
「目と目があった……高鳴る心臓……これって恋!?」
コメント
・言ってる場合かw
・死への怖れ、やな
・ついに死への恐怖を恋心に誤認し始めたか……
・この様子じゃ恐怖があるのかすら分からんわw
・着々と人間辞めてて草
うーむ、あんまり否定できない。
別に本当に心臓が高鳴ってるわけでもないし、完全に恐れがないわけでもない。
でも、最初の頃と比べて恐怖が軽減しているのもまた事実なんだ。人って適応が速いよね。
「──ぬぐっ!」
──とか考えてたら衝撃波っぽいやつが飛んできた。
幸い距離が離れてるせいか、強烈な爆風のみで被害は済んだ。……わりと近くでコレ浴びてよく無事だったね。
コメント
・この距離からでも撃てるんか
・逃げれなくて草
・亀くん近づいてるやんけぇ!w
・逃げろ逃げろ
・《ARAGAMI》ここは逃げるべきだろう。実験もしてないうえに、策もない。私も何か考えてみるが、そのためには時間が必要だ
・《Sienna》2位に同意
・《ユキカゼ》あ、この雰囲気はまずい
ふむふむ……分かってるじゃないかユキカゼさん。
コメントの雰囲気は逃げろ一択。何だかんだ良心を捨てきれてないリスナーがほとんどだから、ここは逃げて様子見と策を考えるべきだ、なんてのがほとんど。
「──でもさ。最近気づいたんだ。今までリスナー……というか、ユキカゼさんとかアラガミさんとかシエンナさんのイツメンに助けられてきたよ。アドバイスとか情報もらったり。策だって授けてもらった。でもね」
僕は近づきながら衝撃波を撒き散らす亀くんの攻撃に耐えながら続ける。
「でも、最終的には僕の企画で運良く成功したり、情報をもとに行動して助かった。どう倒すか。それは僕が決めた。その時に気づいたんだ」
今までも、言われたことの反対の行動をしたりした。
中華鍋くんでぶっ叩く作戦も、弱体化はできたけど倒し切れなかった。
四肢チェックだって僕の浅慮さから始まったことだし。
全ては運が良かった──なんて片付ける気はない。
掴み取った奇跡と運は、全て僕のもの。
宝くじが当たった? それは買わなきゃ当たらなかった。
それと同じで、やってみないと、それが成功するか失敗するかなんて分からないでしょ?
それをやめろ、それは失敗する。
──言われたことの反対で成功するのって良い。
何が言いたいかって?
「────逆張りって気持ちいいな、って」
コメント
・気づいちゃいけないことに気づいたぞこいつ
・高二病だ……!?
・やべぇ終わった
・まだアドバイス聞いてから行動してるあたりマシだけどよ……
・それは踏み込んじゃいけない領域なのよw
・《ARAGAMI》分かる
・分かるなw
・《Sienna》良くも悪くも成功してる探索者はそうね
・《ユキカゼ》私も反対押し切ってソロで活動してるから、人のこと言えない
・意外にお三方の反応良いなw
・人外どもを一般の枠にハメたらいけんのよw
・(ユキカゼさんはどうなんですか)
・(ソロで中下層行ってるあたり同じ)
・なるほど納得
……反対されるかなって思ったけど、意外に好感触……?
「じゃ、倒そうか」
策はない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます