第40話 やったねぇ!金だよぉ!
あちこちヒビ、もしくは折れた骨をポーションでサクッと回復した後は探索タイム。
一応、簡易的に地図を描いてはいる。休憩所までの道を失ったら終わりだし。そうなったら亀くんを倒せば良いかもだけど、ろくな計画も立てなかったら死ぬ。多分。
「やっぱり高いとこに登って探した方が良いかも」
無闇に地上で遭遇したら前回の二の舞いだよね。
衝撃波っぽい何かで吹っ飛ばされるオチしか見えない。何事も……えーと、索敵? が必要なわけ。
コメント
・世迷と言えば高いとこ
・バカと煙はなんちゃら、って言うもんなw
・バカと世迷は高いとこ……って同一人物じゃねぇか
・草
・最大級の罵倒合戦してて草
リスナーも相変わらずだなぁ。
罵倒を披露し合うリスナーに。変わることのないリスナーに少し安心してる僕がいるけど、どのみち役に立たないからどうでもいいや。
楽しませる義務が僕にはあるけど、リスナーが僕を褒める義務はない。今更褒められても気持ち悪いし。
「マグマ層の時も思ったけど、丘? みたいな登れる場所が多いみたいだね。まあ、隠れる場所もあるってことだし、紙防御の僕からしたらありがたいけど」
コメント
・平坦だったらまあ死んでるなw
・見晴らしの良さが天敵なの草
・《ARAGAMI》丘陵が多いのはダンジョンの特徴と言えるだろう。最も、全てが謎でしかないことから自然発生したモノなのか、何らかの意思によって造られたモノなのかは不明だが
・《Sienna》丘陵地帯は休憩所がない時に代わりとして使うわね。あんたみたいにソロで潜るアホは少ないし
・《ユキカゼ》あほ……
あ、そういえばユキカゼさんもソロだった。
「ユキカゼさん! ソロ仲間だね!」
コメント
・《ユキカゼ》うん
・不本意で草
・こいつと同じ存在にされるのは……w
・案外、ソロ仲間なあたり喜んでる可能性もあるけどw
・いや、ないだろ(真顔)
・ゴキブリと人間は別なんだぞ
・サラッと人間扱いしてなくて草
ユキカゼさんは頷いてくれたのに、それを茶化すリスナー。僕はまだ人間だよ。卒業した覚えはないし。
まあ、一階層とか初心者を除いて、ソロの探索者は絶滅危惧種か、って言うくらいに少ないからね。
まずもって、休憩所の存在を知らない人が多いこと。
50階層より下で生計を立てる探索者がいないことも理由だけれど、休憩所のない上層と中層は交代で見張りを立てて休憩するのが基本らしいし。誰かが言ってた。
「例え普通にダンジョン探索してたとしても、僕はソロでやってたかもね」
コメント
・だろうな
・誰がこんな狂人と組みたがるんだよ
・ソロでやらざるを得ないだけだろw
・ついていけないじゃなくて、おめーが合わせる気が皆無なだけw
・まあ、ある意味ソロの方が大成しそうではある
・《ARAGAMI》取るに足らない有象無象に影響を受けた世迷言葉など私の求める彼じゃない。私が秘書に借金してまでベットした金に釣り合う彼じゃないさ。ふふ
・秘書に借金する世界2位……
・秘 書 に 借 金
・大概おめーも狂人なんよ
僕はアラガミさんのコメントを一通り読んだ後、ふむ、と頷きながらニッコリと笑う。
「アラガミさん────理想押し付けるのやめよ? 僕は僕だよ。どんな僕であっても、それは変わらない。人は生きてたら誰かに影響されるでしょ? 僕だって、今までの人生で誰かに影響されて今の僕がいる。ありもしない未来の僕を僕じゃない、って断言するのは傲慢だと思うな」
コメント
・《ARAGAMI》ごめんなさい
・珍しく正論じゃないですかヤダー
・まともなこと言う世迷……
「──だからアラガミさんも、僕に貢いで享楽し続けるアラガミさんでいることを期待しているよ」
コメント
・ダメだった、こいつ真性のクズだ
・手のひら大回転どころじゃねぇw
・押し付けてんじゃねぇかwww
・世迷は世迷だった……
・貢ぐ発言は草
・《ARAGAMI》知 っ て た
・さてはこいつも謝る気ゼロだったなw
・上位探索者クズだらけ問題
・《Sienna》同じにすんなボケカスが
・いや、6位も大概だと思うぞ……
ま、僕を期待してくれるのはありがたいけど、それに全力で報いて、その人の言う通りに……なんてことはするはずがない。そんなのそれこそ僕じゃない。
「ふふ、僕を思い通りにできるなんて思わないでよね。僕は何事にも屈しないよ」
コメント
・《NTD》予算下りたので
・《ARAGAMI》
スゥーーーーーーーー。
「何する? どんな企画する? 体当たり企画でもいいよ?」
コメント
・屈してんじゃねぇか
・直接口座に入らないからどうでも良いとか言ってなかったっけ……?
・体当たり企画しかしてない定期
・クズの片鱗どころか全面的に見せつけてきてるw
・鮮やかな手のひら返し
・また即堕ち
「流石に冗談だって! 金に踊らされるほど飢えてないよ。現物があるわけでもあるまいし。──ただ、ほら。お金って誠意に僕も少しは応えなきゃなぁ、って心優しき配慮があるんだ、うん」
腕を組んでやや早口のまま説明する僕。
配慮とか遠慮とか、りょ? が付くものは地上にもれなく置いてきたけど。
そんなのあったって何の役にも立ちやしない。モンスターに遠慮することなんて一つもないしね。
……あれ、僕、地上に置いてきた感情多すぎ……?
地上に出たらまともになるんじゃないかな? 多分。
コメント
・嘘をつくな嘘を
・優しさとかwww
・金に目がくらんでるアホが何か言ってる
・スパチャは文字通り世迷の血肉になるからな
・ポーションのこと言ってる?w
・コンプラに配慮しろ
「コンプラはごめんね? 普通に無理だと思うから諦めてくれると助かる」
最早二桁回数、腕が吹っ飛んでる時点でお察しだよね。もう戻れないラインまで来てるから、コンプラくんにはこちら側に堕ちて欲しい。
「とにかく、企画はいずれやるから、まずは探索だよ……って、ちょうど良いタイミングだね」
雪山を登りきった時に見えたのは、緑色の長い首。
遠目からでもハッキリと視認できるのは、僕の体をぐっちゃにした亀くんに違いない。
僕は一応学んでるから、伏せて観察してみる。
「《鑑定》……あ、この距離からでもできるんだ」
僕は意外な有能さに驚きながら鑑定結果を確認した。
ーーー
《ユニークボス個体》
種族 亀
Lv.1200
ーーー
「亀」
───そのままじゃねーか。
僕は心の中でツッコんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます