第3話 やったね!人気者だよ!(煽り)
「いや、本当にどうしよ。めっちゃ暑いし下にヤバそうなモンスターいるし」
やり残したことは別にないんだけど、普通にまだ死にたくないよ。17歳童貞だし。高校辞めたくないし。
とは言っても万事休すなのは状況的に理解できる。ここから先を生き残ることが難しいことも理解できる。分かってしまう。
それでも僕は死にたくない。
潔くなんて死ねない。生きたい気持ちがある限りこの命を粗末にしたくないんだ。
「ごめん、みんな。僕の不注意で招いた現実だけど、どうか協力してほしい」
どこにカメラがあるのか分からないけど、とにかく僕は頭を下げる。
僕の周りを自動で映すという謎の機能が今になって恨めしい。そのお陰でリスナーも周りを把握できるんだけど。
コメント
・まあ、暇だから良いぞ
・べ、別にあんたのためじゃないんだからねっ
・↑誰得ツンデレ
・《ユキカゼ》勿論手伝う
・ユキカゼぇ!お前のせいだからなァ!
・発端はおめーの言葉だからな
・ぶっちゃけ逮捕されててもおかしくないぞ
・人を破滅に追い込んだ気持ち聞かせて?
「ちょ、ちょ、待ってよ! 確かにユキカゼさんの言葉で行動したかもしれないけど、そもそも僕が講習をちゃんと受けていれば回避できたことだし、不用意に突っ込んだ僕が悪いよ。ダンジョン内で起きたことは自己責任でしょ? それはユキカゼさんに負わすことじゃない」
僕はコメントの雰囲気が香ばしくなったことを察して止める。若干イジってるコメントもあるが、ユキカゼさんを責める言葉が大半だった。
これは尊敬する人だから、って感情論で言ったわけじゃない。
事実として僕が悪い。勿論、ユキカゼさんが全く悪くないか、と問われれば世間は許しそうにないけど……。
コメント
・まあ、一先ず主さんの脱出について話すか
・無事に生きて出られたら無実になるからな
・ここから脱出できたらどっちも英雄だろwww
落ち着いたことに安堵して、僕は改めて辺りを見渡した。
焼けるように熱い空気……というわけでもなく、真夏の日差しがガンガン当たっているような不快さがある。
「基本的にマグマベースだけど、しっかり歩ける道はあるかな。体感的な温度は35℃くらい。モンスターはでっかい狼みたいのだけ」
コメント
・マグマがあるのに意外に温度低いな
・ダンジョン内は生身でギリギリいられる場所に設定されてるらしいぞ。上限は40℃、下限は−10℃
・ホンマや。調べたら書いてあった
・何とも都合が良いな
・モンスターに遭遇しないで脱出することが前提になりそう
・
へぇ、温度関係でそんな事実があったんだ。
まあ、入った瞬間に死亡とかは酷いもんね。
「僕のスペックは……レベルは2。スキルは《鑑定》と《アイテムボックス》二つだけ」
コメント
・便利だけどガチガチの非戦闘系統wwwwww
・何もできないやんけwww
・40年前のラノベ主人公かよ、お前www
・アイテムボックスで次元切断、ってかwwwwww
・鑑定で敵の動きでも読む??wwwwww
「ちょっと、面白がってるじゃん!! 助ける気ある!? それに言ってることよく分からないんだけども!」
《鑑定》はモンスターの名前とレベルが分かるスキル。
《アイテムボックス》は一定重量を収納できるスキル。
どれも便利だけど、確かに戦闘には全く向かないスキルだ。
前提があるんだけど、スキルが発現したものだけが探索者になってダンジョンに潜ることを許されるんだ。
僕のスキルが発現したのは2年前。
正直、楽しくダンジョンで潜れれば良いと思ってたから非戦闘系のスキルでも満足してたけど……こんなことになるとは。
コメント
・《ユキカゼ》一応スキルは後天的にも獲得できるから悲観するようなことでもないけど
・運が良ければ、な
・でも、目的は脱出だし強くなる必要はないんじゃ?
・階層主どないすんねん
・↑忘れてたw
・駄目やんw
「階層主って戻る時にも倒さなきゃいけないの?」
コメント
・一度倒していれば必要ない
・倒してないんだよなぁ……
階層主とは次の階層に行くために倒さなければならない一際強いモンスターで、一階層ならちょっとでかいスライムだけど、こんな下層だと想像できないくらい強いに違いない。
「これ、詰んだんじゃない?」
コメント
・それな
・というか同接やばくね?
・ホンマや。急にどうした
同接?
僕はコメントのざわつきでようやく『150860人』というとてつもない数字に気がついた。
「何これぇ!?」
コメント
・今地上波でニュースやってるよ
「ふぁ!?」
その一言で僕は気が遠くなりそうになった。
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