第30話 冒険者活動



 家に帰ってから色々と今後のことを考えてた。


 最初は問答無用に日本に帰していくことが正しいと思ってた。そりゃそうだろう?だってまだ保護される立場の子供だもん。普通に考えれば心配する親だって友達だっているんだ。


 あのクソ女神のせいで異世界に強制転移されたけど、元々居なかった存在が居なくなったところで、異世界側の事情など知ったことじゃねーし。大義名分はこちらに充分ある。だから気にする必要なんてないんだ。


 けれど二ヶ月も経てば、そこに根差した者だって出てくる。帰りたい者は帰してきたけど、そうじゃない者もいる。悪質な奴等は別として、四谷や上木や大河なんかはテラフィアに残りたいと願っていた。


 帰した者達も、一度しっかり話をしたほうがいいのかもしれないな。





 スマホを取り出して寺井に電話してみた。まずは寺井から話そうと思ったからだ。こーゆうのは順番に話すのが一番だよね。


「もしもし、俺だけどちょっといいか?」


『あぁ、全然いいぜ。どうしたんだ?』


「ちょっと聞きたいことがあってさ。実は٠٠٠」


 寺井の意見を聞いてみたくて、悩んでた内容を話してみた。寺井は日本に帰ったのが正解だったようで、異世界には戻りたくないと言っていた。


『俺はアニメやラノベで堪能するほうがいいわ。実際に異世界に送られて大変さがよくわかったし。やっぱ二次元が一番だよ』


「そうか、そう言ってもらえるとなんか救われる気分になるよ」


『けどさ、異世界に適応してるってゆーか、異世界に馴染んじゃった人もいる訳だろ?そういう人は異世界に送ってあげたらいいんじゃないかな?ま、赤城次第だけどさ』


 やっぱりそうかと思った。いつも一人だったから中々決断出来ない時があるけど、誰かに話すってのが大事だと今思ったよ。


 その後は少し雑談しながら電話を切った。寺井の目下の悩みは学校から出された課題という名の勉強らしい。他のクラスメイトも同じなんだろうかと思った。




 次はお世話になっている沼津に電話してみる。そしたらかけて二秒もしないうちに電話に出た。


『どうしたの?あんたから電話なんて明日は核ミサイルでも落ちるんじゃない?』


「落ちねーよ!てか、用があって電話したに決まってんだろ?大事な話なんだ、今ちょっといいか?」


『え?えと、もしかして告ったりする?わ、私は彼氏とかいないしフリーだけど~?』


「告らねーよ!違うわ!いちいちボケなくていいから。ツッコミ過ぎて疲れるわ」


『何それ、ウケるw』


「いや、ウケねーし!話が進まんから一方的に話すぞ?実はな٠٠٠」



 沼津にも寺井にした話をした。同じ内容だったから、さっきよりスムーズに話せたと思う。なんだかんだで女子でも喋りやすいんだよな~沼津って。一通り話すと暫く返事が無かった。あれ?もしかして寝ちゃった?


『٠٠٠٠٠٠٠』


「おーい、沼津起きてるか?」


『٠٠٠٠٠٠٠美咲』


「ん?何だって?」


『だから、美咲。私の名前は美咲なの!そう呼べって言ってんの!』


「お、おう。わかった?じゃあ美咲?」


 同い年の女子を下の名で呼ぶのは少しハードルが高かったけど、勢いに押されてつい言ってしまった。怒られないよな?大丈夫だよね?



『その話だけど、私も異世界に行くことにした』


「え?なんでまた急に?なんか向こうであったっけ?」


『あの国には戻らないわよ。あんたに付いていく。ダメって言われても行くから。これ決定事項ね』


「いや、ダメって訳じゃないけど。てか、何でなんだ?理由ぐらいあるだろう?」


『行きたいから行くのよ。理由なんてそれでいいでしょ?それにあんたにだってメリットがあるじゃない。私が一緒だと話が早くて助かると思うけどー?』



 言われてみれば確かにそうかもしれない。大河だって最初はスゲー警戒してたし。他の奴等も俺には警戒するけど、沼津٠٠٠美咲がいれば警戒心が薄れるだろう。クラスのカースト的に。


 美咲の提案を受け入れて、明日から一緒に行動することになった。と言いたいが、流石に学校の課題が終わってなかったので、終わってから合流という形になった。


 俺がもう終わらせてることを知ると、『私に勉強を教えろ』と言ってきたので、家に行って天才のスキルオーブを渡すことになった。家に行ったついでに、幾つかLV1000ドリンクやスキルオーブも渡しておいた。装備は合流する時に創造することを約束してその日は帰った。




 翌日、カッパー島に転移して時間潰しをすることにした。


 時間潰しと言えばやはり冒険者活動だろうと、冒険者ギルドに向かった。中に入って掲示板にある依頼を久しぶりに眺めていると、一件だけ興味を引いた依頼があった。


「ほう?『ラリル海賊団討伐』ね。報酬は白金貨200枚か。海賊退治とかロマン溢れるじゃねーか」


 依頼を見ながら海賊ってどんなのだろう?と想像していたら後ろから声をかけられた。


「兄ちゃん、その依頼は止めておいたほうがいいぞ。ラリル海賊団は女子供でも容赦なく殺す非道な海賊だ。今まで何人もその依頼を受けたが、みんな返り討ちにあっちまったよ」


 この街の冒険者らしきおっちゃんがラリル海賊団のことを説明してくれた。周りの冒険者もウンウン頷いていた。


「けど被害が出てるから依頼を出してんだろ?冒険者の数を集めて討伐に行かなかったのか?」


 ざっと周りを鑑定してみたけど、高レベルの冒険者が結構いた。向こうの規模にもよるけど、冒険者の数を揃えれば討伐も出来そうだと思った。


「ラリルは海賊団だ。船も何十隻と持ってるし、ラリル自身も強いんだよ。討伐するなら国から軍を出してくれなきゃまず無理な話だな」


「何十隻ということは、部下の数は相当多いんじゃないか?船長も強いとなれば頭だけを狙うのも難しいか」


「軍を出そうとしたら、その報酬額よりも高くつくからな。損害も含めたらどえれぇ額になるだろうよ。だからその依頼はラリル海賊団に気を付けろって意味で貼ってあんのさ」


「そうだったのか。知らなかったよ、ありがとう」


「いいってことよ」


 親切な冒険者たちに礼を言って、依頼の紙を剥がした。


「おい、兄ちゃん話を聞いてたか?それをどうするつもりだよ」


「しっかりと聞いたよ。それに今日でラリル海賊団は終わりってことさ」


 受付カウンターで依頼を受理してもらったが、受付嬢さんが心配そうにこちらに何度も確認してきた。


 大丈夫だと何度も答えてから、街を出て世界地図でラリル海賊団のアジトを調べた。そんなに大きい船団なら絶対にアジトがあるはずだからな。なければ海賊にロマンとかねーし。





 場所は確認できたので、適当な沖合いまで飛んでイージス艦を出した。


「さあ、出航だ!目標はラリル海賊団本部!」


『イエス、マスター』


 高性能なAIの機械音声の返事を聞きながら出航した。


 道中、何度も魔物を狩りながら進んでいき、アジトと思われる島が見えてきた。


「ホントなら情報収集しながら目指すんだろうけど、世界地図で場所も判るし自動で動くから楽チンだよな~」


 島に近付くと幾つかの船が出てきたので、ミサイルをぶっぱなして全部沈めてあげた。海賊には人権は無いそうなので、人殺しの忌避感に慣れておきたかったというのもあった。


「٠٠٠スキルの影響かあんまり忌避感は無いな。かといって進んでしようとも思わないけど」


 そのまま島に停泊している船を全て沈めて、イージス艦を仕舞って島へと上陸した。


 イージス艦が消えたのを確認したのか、そこら辺からワラワラと海賊たちが現れた。


「カチコミだぁー!」

「野郎!舐めやがって!」

「ぶっ殺せー!」

「相手は一人だぞ!殺せぇ!」


 ストレージから久しぶりに剣を取り出したところで、前に創造で作ったオリハルコンとミスリル合金の武器があるのを思い出した。


 人数も多そうだし全ての武器を試してみよう。


 まずは剣で数十人を斬り飛ばしていった。途中で武技も混ぜながらやっぱり武技はいらないと思った。


 次は槍で突いて薙ぎ払ってを繰り返して、斧で数人まとめて切断し、弓矢で数十人まとめて射貫き、鎌で首を落としていった。


 百人以上を殺したところで逃げようとしていたが、逃げようとする奴らを鞭で捕らえてズタズタにしていく。


 最後にガントレットとレガースを装着して、殴っては蹴ってを繰り返して蹂躙していく。攻撃を喰らった箇所の肉が弾け飛ぶ光景に、我ながらグロいと思ってしまう。


 それでも逃げる者を全て追うのは難しいので、結界魔法で島全体を覆って逃げられなくする。遠くに離れた者は、各属性毎の追尾機能を持たせた誘導弾で始末していった。


「『誘導火炎弾』『誘導水圧弾』『誘導岩石弾』『誘導雷鳴弾』『誘導氷結弾』『誘導風切弾』」


 まとめて処分するために普段は使わない範囲魔法も使用した。索敵したらざっと千はいそうな感じだしな。中には捕まってる民間人もいるだろうから、ちゃんと選別したよ。


「土魔法『大喰グランド大地イーター』、光魔法『ジャッジメントきの審判レーザー』」


 この大喰の大地は、地面から牙を持つ大地がパクッと対象を補食する魔法だ。まとめて大きく食べるのではなくて、一人一人に発動する。選別しやすい魔法となっている。


 同じく裁きの審判は、俺の中で対象となる相手にだけ光のレーザーのようなものが降り注ぐ魔法である。


 どちらの魔法も人質がいようと、避けて発動したり、対象以外を傷つけないように創造した魔法だ。





 多分、雑魚は一掃したと思うので、島の中で一番大きな建物に向かった。おっと、残党を狩るのを忘れてた。


「召喚魔法『自動機械人形ロボット』」


 召喚したのは自動機械人形である、執事風の老人一体とメイド風の百体。執事のハンスを司令塔とした、身の回りのお世話から戦闘までこなす集団だ。


 創造で頑張って作った内の一つである。ちなみにメイドには名前を付けてない。百体も考えれるか!


「主様、何か御用命でしょうか?」


「この島にいる海賊を一人たりとも逃がさずに狩れ。ただし民間人や人質になってる者は殺すな。判断がつかないときは連絡しろ」


「はい。かしこまりました」


 命令一つで執事とメイドが音も無く四方に散っていった。


「さて、親玉を狩りにいきますか」


 大きな建物の中から何ヵ所かで数名の反応がある。扉を蹴破って中へと入っていく。反応がある部屋に入っては海賊を狩っていく。


 地下への階段があるので下りていくと、牢獄のような場所に民間人っぽい人達がいた。


「あんたらは捕まってるのか?」


「君は٠٠٠?どうやら海賊の仲間じゃなさそうだね。僕たちは貿易商人だよ。ラリル海賊団に捕まってここに入れられているんだ」


 集団の中から、ちょっといい服を着た青年が代表して話してくれた。


「なら助けるから付いてきてくれ」


 牢をスッパリと斬り裂いて、三人は並んで通れるぐらいのスペースを確保する。順番に牢から出していき、他に捕らわれてる者がいないか聞いてみた。


「ここにずっと居たからわからないが、見目のいい女は別の場所に連れて行かれている。出来れば彼女たちも助けてもらえないだろうか」


「わかった。その人達を迎えに行くなら女性の方がいいだろう。そちらにはメイドを送っておく」


 召喚した執事のハンスに念話で連絡を送る。召喚された魔物やテイムされた魔物は、マスターとなる者と念話ができるのだ。


『ハンス、捕らわれてた人達を一部救出した。建物の前に何人か寄越してくれ。あとメイド数名に捕らわれてる女性を救出させろ』


『かしこまりました。何か必要な物があれば使用しても宜しいでしょうか?』


『その判断は任せる。使えるものは使って構わない。幾らでも補充できるからな』


 一旦、建物を出るとハンスとメイド数名が待機していた。助けられた人達は何故こんな所に執事とメイドが?といったことを口にしていたが、そこはスルーした。


「助けた人達を船着き場に送れ。後で全員運ぶから。メイド数名は俺に付いてこい」


「「「かしこまりました」」」


 ハンスに指示を送ってまた建物へと入っていく。残りの反応がある部屋も掃討していき、捕らわれた女性らがいる部屋を見つけた。



「やめて!乱暴しないで!」



 お世話役っぽい小さい女の子が、半裸の女性達を守るように前に出てきた。


 よく見れば女性達には青痣があり、ろくな扱いを受けていないことが解った。包帯を巻いてたり、動けない者もいるようだ。٠٠٠先に治療だな。


「そんなことはしないよ。君たちを助けに来たんだ。水魔法『治癒の水』」


「え、何これ?傷が٠٠٠」

「痛みがひいていく٠٠٠」

「あ、折れた腕が治ってるわ!」


 怪我が治った者から感嘆の声が上がっていく。小さい女の子も俺の行為を理解したのか、敵意が無くなってお礼を言ってきた。


「お兄ちゃん、ありがとう!さっきは勘違いしてごめんなさい」


「いや、いいんだよ。気にするな。メイド達は女性を連れていけ。あ、毛布を掛けるのを忘れるなよ」


 毛布を掛けられた女性達はメイドに運ばれていった。女性達には後で精神の治療もしないといけないな。


 女の子はメイドに付いていかずに、俺にまだ何か言いたそうだった。やがて意を決したのか縋るように話し始めた。


「あのね、お兄ちゃん。まだ治してほしい人がいるの。私のお姉ちゃんなんだけど、とても酷い怪我なの」


「構わないよ。そのお姉ちゃんはどこにいるんだい?」


「こっち!付いてきて!」


 奥に反応があったから知ってたけど、弱々しい反応だったから小さい生き物でもいるのかと思ってた。


 奥の部屋に行くと、顔や体の色んな箇所を包帯に巻かれた少女がいた。腕も一本無いし、両足も膝から下は無くなっていた。髪の長さや体の膨らみで辛うじて少女とわかるぐらいだ。ハッキリ言ってグロ耐性がないとキツい。


「お姉ちゃんは私たちを守るために酷い拷問を受けたの。だから助けてほしいの」


「わかった。お兄ちゃんに任せなさい」


 泣きながら説明する女の子の頭を撫でながら、上位の回復魔法を発動した。


「光魔法『完全回復パーフェクトヒール』」


 ピカーっと少女が光に包まれると、身体中の全ての傷と欠損が治っていき、腕も足も元通りになった。顔の怪我も治ってるだろうから、巻かれていた包帯を外してあげた。


 少女は眠っていたようで、包帯を外した感触で目が覚めたようだ。ゆっくりと目を開けて俺の姿を捉えると、「ひぃっ!」と怯えて顔を背けられた。素性不明だから怯えられるのは解るんだけど、そのリアクションは何だかショックだよ。


「お姉ちゃん、このお兄ちゃんは大丈夫だよ。私たちを助けに来たんだよ」


「いや、いや、いやぁぁぁ!!」


 かなりパニクってたので、魔法で精神を治療することにした。


「光魔法『精神回復マインドヒール』」


 今度は少女の頭だけがピカーっと光り、徐々に光が収まると落ち着いた感じになっていた。この魔法は頭がスッキリして心が落ち着く作用がある。あと心に耐性が付いて精神が強くなる効果もある。



「落ち着いたか?俺はカケル。白銀級冒険者だ。ラリル海賊団を討伐に来たついでだけど、捕まってたから助けに来たんだ。そして今は君を治療したところだけど、どこか痛い所はあるかい?」


「٠٠٠いえ、ありません。何故か頭もスッキリしていますし、あれだけ怖かった気持ちも今は不思議と落ち着いています」


「それなら良かったよ。他の人達も船着き場に向かってるから、君たちも向かってくれ。そこにいるメイドに付いて行けばいいから」



 メイドが少女にも毛布を掛けて、女の子と一緒に部屋を出ていった。これで民間人は全員解放できたと思う。あとはラリルと残党だけだな。




 最後の反応がある部屋に入ると、ラリルと思われる船長服を着た人物がいた。


「てめぇが俺様の海賊団を潰してる野郎か。だがな、いくら雑魚を狩ろうが俺様がいる限りいくらでも٠٠٠ウベェ!」


「話が長い」


 なんか話が長くなりそうな気がしたから、殴って気絶させておいた。あとはこいつを連れて冒険者ギルドに行けば終わりだな。念のため雷魔法の感電をかけて、更に氷魔法の氷結拘束で両手足を拘束した。


 建物を出て船着き場に行くと、助けた人達とハンスとメイド達が待っていた。待っている間に服を配ってくれてたようで、全員まともな格好の服を着ていた。さっきまではボロボロの格好や半裸の女性もいたので、メイド達によくやったと伝えておいた。


「残党は狩り終わったか?」


「はい。全て終わっております」


「よろしい、それでは撤収だ」


 召喚したハンスとメイド達を送還すると、急に消えたことで助けた人達は驚いていた。それらを無視して、女性達に精神回復をかけていく。辛いことはあっただろうけど、今後は強く生きてほしいもんだ。


「皆さんをカッパー島に連れていきます。場所を移動する魔法を使いますから、驚かないで行動して下さいね」


「わかった。我々は君に従うよ。僕らを助けてくれてありがとう」


「報酬はギルドから出てるから気にしなくていいよ。『集団転移』」


 代表の青年から感謝の言葉をもらった。三十名程の生き残りを連れて、カッパー島の街の前に集団転移した。





 街に着いて更に驚いてたが、それよりも助かったという実感が強く出たのか、みんな泣いたり笑ったりとお互いの無事を喜んでいた。


 門番に事情を説明して中に入れてもらい、皆で冒険者ギルドに向かった。全員が入れる大きさのギルドなので、そのまま全員を連れて受付嬢さんの所に依頼完了報告をした。


「ラリル海賊団の討伐完了だ。それと、これがラリル本人だ。後ろの人達は本拠地に捕らわれていたから助けた」


「え~と、ちょっと待って下さいね。え?本当にラリル本人なんですか?それと助けた人達もいるんですね。私では判断が出来ませんので、少しお待ち下さい」


 受付嬢さんはそう言うと小走りで階段を駆け上がっていった。暫くすると強面のオッサンと一緒に戻ってきた。


「俺はカッパー支部でギルドマスターをやっているダガンだ。ラリルを捕まえたってのはお前さんかい?」


「そうだ。これがラリルだ」


 ギルドマスターのダガンさんにラリルを見せると、手配書と確認しながらウンウンと頷いていた。


「確かに本人だ。よく捕らえることができたな」


「詳しい報告をする前に、助けた人達を引き渡したい。後ろの人達は捕まっていたから助けたんだが、どうすればいいかわからない。別に謝礼金とかはいらないから」


「それなら後はギルドで引き受けよう。それと話を聞かせてもらうから、奥にある執務室へ行くぜ」


 ダガンさんが受付嬢さん達にテキパキと指示を出して、ラリルは何処かに連れて行かれた。助けた人達にも事情聴取をするようで、何処かの部屋に案内しているようだった。


 指示を出し終えたダガンさんに連れられて、念願のギルマスの部屋に入った。やっぱり異世界に来たらギルマスの部屋に呼ばれるのは経験しておかないとね!



「それじゃあ話を聞かせてもらおうか」



 ソファーに向かい合わせに座って、ギルマスに海賊団の討伐を説明していった。そこまで隠すような事でも無いので、少しだけ現代兵器のことはボカシながら説明した。全ては魔法で説明していき、救出や討伐の流れを話した。


「お前さん見かけによらず凄腕なんだな。さすが白銀級といったところか。こりゃ白金級もすぐだな」


「なるのは容易くても腕が無いと死にますからね。そりゃ頑張りますよ」


「あと二つも難易度の高い依頼を受けりゃ白金級だな。ラリル海賊団には本当に困ってたんだ。本当に助かったぜ。これが報酬だ、持ってけ」


 ダガンさんは金庫から報酬の入った袋を出して机に置いた。それをストレージに仕舞った。


 窓の外は夕暮れになっていたので、そろそろ大河を迎えにいく時間だ。まだ話したそうなダガンさんに、疲れたので帰って寝ることを話して部屋を出た。


「よくやったな兄ちゃん!」

「お前、スゴいな!」

「あいつはやる男だと思ってたよ」

「嘘つけ、ずっと心配してたじゃねーか」

「ラリルを倒してくれてありがとよ!」


 ギルド内ではもう噂が回ってるようで、周りから称賛の声があったけど、苦笑いしながらギルドを出た。




 さて冒険者活動も終わったし、大河を迎えに行きますか。



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