第11話 ダイガード大峡谷



 異世界テラフィアから、二人のクラスメイトを日本に送り帰せた。けどまだ二人だけだ。日数が経てば状況も変わるかもしれない。なるはやで皆を帰したいとこだけど、そう上手くいかない気がする。


「次の目的地はっと。近いのはダイガード大峡谷か。どんな場所なのかな?」


 いつものように情報を買うしかないなと思い、宿を出て冒険者ギルドへと向かった。




 冒険者ギルドに行くと、最初の受付嬢さんがいたので情報を売ってもらった。勿論、ダイガード大峡谷についてだ。



「ダイガード大峡谷に行くの?あそこは良い鉱石が採れるし、ドワーフの作る武具があるからね。これぐらいならタダだけど、貴方が聞きたいのは有料の方なんでしょ?」


「そうですね、あちらに関する情報を売ってもらえますか?女神の戦士様もいると聞いてますので」


「そこまで知ってるのなら、向こうで活躍してる女神の戦士様の情報も知ってるのかい?」


「いえ、どんな方なのかはサッパリですね」


「なら情報として売れるね。金貨50枚だよ」




 ダイガード大峡谷に転移してきた女神の戦士は、若い男性であり、斧聖の職業を持つらしい。ドワーフの作った武器を使い、もう金級にまで昇級しているそうだ。大型の魔物を討伐したこともあるらしい。期待の戦士なんだとか。


 それとダイガード大峡谷は、国ではなく地方の独立都市みたいなもので、住民の大半がドワーフという種族らしい。例に漏れずに、ドワーフは鍛治全般が得意なんだそうだ。是非とも会ってみたい。



 受付嬢さんにお礼を言って、ファルム公国を後にした。次のダイガード大峡谷に向けて出発だ。


 ちなみに沼津にも手紙を書かせておいたから、今頃城では騒ぎになっているだろう。内容は寺井の時と同じだ。






 同時刻、城で女神の戦士様を護衛する兵士が、見張りに就いていた兵士を叩き起こしていた。


「おい!起きろ!寝てるとはどういうことだ!」


「うっ、あれ?俺はいったい٠٠٠?何を?」


「何っ?クソッ!直ぐに地下を調べろ!眠らされた可能性がある!賊が入ったかもしれん!」


 急いで地下にある女神の戦士様の部屋に行くと、部屋の中は誰も居らずもぬけの殻であった。


 何か手掛かりになる物が無いか探していると、テーブルの上に手紙が置いてあるのを見つけた。急いで手紙の封を開けて読んでみると٠٠٠



『修行の旅に出ます。探さないで下さい』



 そう一言だけ書いてあった。手紙の内容を知った兵士が、公王に報告して捜索を開始する。女神の戦士が居なくなったことで、国中が大騒ぎになった。






 現在はハリアーに乗って空を移動中である。途中で喧嘩を売ってきた翼竜を鑑定すると、ワイバーンと出たのでドッグファイトをしてみた。



「ふおぉぉぉ!初めて銃を撃った!全っ然、当たらねぇー!」



 思いの外楽しかったので、何度もすれ違い様にガンポッドを乱射した。全く当たらなかったので、ミサイルを試してみたところ見事に命中した。


 ドッグファイトは、暫く練習が必要みたいだな。ワイバーンは粉々のミンチになってたので、回収せずに飛び立った。


 移動の途中に、スキルで補正すればと良かったと思い付いたので、狙撃と必中スキルを獲得した。これでドッグファイトも安心である。



 大峡谷にそろそろ差し掛かってきたなと思った。目の前に長く深い谷が見えてきたからだ。


 大峡谷という名の通り、絶景がそこにはあった。



「おぉ~!ちょっと感動した。すげぇなぁ。けどここを飛んだら目立つな」



 地上に降りると、ちゃんと街道らしき道があったので、そこを高速飛行することにした。ハリアーをストレージに入れて、地面スレスレを高速飛行で移動していった。


「誰かに見られても、高速で移動しているようにしか見えないだろう。ふふ、残像だ。なんてね」


 独り言が増えてきたなぁと思いながら、大峡谷を進んで行くと、大峡谷を遮るように大きな壁があった。あれが街なのだろう。



 地上に降りて、そこからは歩きで門まで行った。歩きながら辺りを見渡しても、周りには門番以外居なかった。ここは寂れてるんだろうか?


 門番にギルドカードを見せて中に入ると、街の中は活気に溢れていた。


 所々で煙が上がる家が沢山あり、トンテンカンと何かを打つ音が周りから聴こえてくる。まさにイメージ通りのドワーフの居る街って感じだ。



「おぉ~感動だ。あそこにいるのがドワーフだな。本当に髭がフサフサじゃないか!背も低いし、頑固そうだ!」



 偏見もあったけど、大方イメージ通りのドワーフを見れて浮かれてしまった。周囲の人が、田舎者を見るような視線を送ってきたことで、ようやく我に返り、逃げるように冒険者ギルドを探しにいった。



 冒険者ギルドを見つけて中に入ると、今までの冒険者ギルドとは違い、昼間なのに大勢の冒険者がいた。依頼を受ける掲示板があるけど、そこには誰も居ない。みんな酒を飲むスペースで昼間から飲んでいた。



 カウンターにいる受付嬢さんに話を聞くと、ドワーフは酒を飲む頻度が多いそうで、酒を飲んだ後に依頼に行ったりするそうだ。


 それは兎も角、まずは情報を買うことにした。言葉遣いも意識して、冒険者らしく話すようにしてみた。



「情報を売ってほしい。この街にいる女神の戦士様についてだ。俺は女神の戦士様のファンでね、各地の女神の戦士様を見て廻る旅をしてるんだ」



 我ながら上手い理由だと思う。まだ大丈夫だと思うけど、そのうち女神の戦士が連続で居なくなると、俺の仕業だとバレるかもしれないからな。ふふん、これからは疑われないように動くのさ。



「そうなんですか?と言っても、売る程の情報は無くてですね。ほら、あそこでバカ騒ぎしてる集団がいるでしょ?」



 受付嬢さんが指を差した方向には、酒を飲んでドンチャン騒ぎしてる集団がいた。そして集団の真ん中に、見たことのある男子生徒がいた。未成年なのに酒を飲んでバカ騒ぎしていた。



「各地にいる女神の戦士様の状況は知りませんが、ここダイガードにいる女神の戦士様は、大変お強いので情報規制がされてないのです。ですので、サインなり握手なりを求めてるなら、直接どうぞ」


「なるほどね、理解したよ。確か職業斧聖で金級なんだよな?」


「そうですね、強さはまだ金級の中位レベルですが、直ぐに白金級に駆け上がると言われてますね」


「ありがとう。ちょっと挨拶に行ってみるよ」



 流石に情報料が無料とはいえ、何か悪いので金貨一枚を渡しておいた。受付嬢さんがニコッと「ありがとうございます」と言ってくれたから良かったよ。



 バカ騒ぎしてる集団を潜り抜けて、集団の中央にいる男子生徒に話しかけた。


「お初にお目にかかります。女神の戦士様のファンでして、良かったら握手してもらえませんか?」


 男子生徒は酔っ払ってて、俺を見ても気付かないようだ。こちらを見てドヤ顔をしながら、自慢話をしてきた。


「君も女神の戦士たる俺様に会いに来たのかい?いいだろう、握手とサインもしてあげよう」


「ありがとうございます。おぉ、これが英雄の手でございますか、素晴らしい!」


 演技スキルを発動させながら誉め称えると、気を良くしたのか、懐から紙を取り出してサインしてくれた。ミミズが這ったような字で、なんとか新島と読めた。



 女神の戦士である新島にお礼を言って、冒険者ギルドを出た。出る前に世界地図の機能の一つである、マーカーを新島に付けておく。これで新島が何処に居ても探すことができる。宿を確保してから、また夜に話を聞くとするか。



 近くに宿屋があったので、一泊だけと伝えてお金を払い、部屋に入った。受付はドワーフの女の子だった。見た目は完全ロリだけど、胸は大きかった。もしかしたら、ドワーフの女性は胸の大きさで年齢が判るのかもしれない。



 ドワーフ女性についての考察をしながら、自宅へと転移した。今日は母さんにフラッシュボア肉で料理を作ってもらうのだ。



「母さん、ただいま」


「おかえり、駆。あんた毎日帰ってきてるじゃないか。母さんは嬉しいけど、大丈夫なのかい?」


「いやぁ~あっちの食事は美味しいんだけど、ベッドは固くて防犯面も怖いからさ。結局、我が家が一番って感じだよ」



 母さんに異世界事情を伝えながら、ストレージから解体した肉を出して渡した。結構な大きさがある。精肉店じゃないと見れないような肉の塊だ。



「これが異世界の魔物、フラッシュボアの肉だよ。見た目は大きな猪だったんだ。街で食べたけど、すっげぇ美味かったからさ」


「これは大きいわね!鍋もいいけど、今日はステーキにするよ。高級店のように肉厚のステーキにするからね」


「是非ともお願いします!焼き加減はミディアムレアで!」




 母さんとほのぼのとしたやり取りをして、夕方に帰ってきた父さんと三人でフラッシュボアのステーキを食べた。ニンニクソースが決め手となり、大変美味でした。



 そこから少し仮眠をとり、深夜零時にアラームで目覚めると、のそのそと着替えてダイガードへと転移した。




以下、現時点での赤城駆のステータス



カケル・アカギ

人族 16歳 男性

職業 昼行灯改


LV 110000000

HP 10000027000

MP 7890000001150


力  980000000+1150

体力 980000000+1150

速さ 980000000+1150

知力 1550000000+1150

精神 1340000000+1150

魔力 7890000000000+1150

運  9980000000+11100


スキル

創造

神眼(鑑定、心眼、各種魔眼を統一)

ストレージ

概念操作

上限突破、限界突破、極限突破、究極突破

スキル向上、スキル上昇、スキル重複、スキル強制消去

手加減、身体制御、身体操作、精密動作、高速飛行

演技、交渉、魅力、料理、世界地図、解体、狙撃、必中

未来予測、未来予知

怪力、剛力、金剛力

頑強、剛体、金剛体

俊足、瞬足、韋駄天

知恵袋、博識、秀才、天才

集中、忍耐、明鏡止水

魔力増大、魔力泉、魔力タンク

ラッキー、幸運、豪運

原始魔法(火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、氷魔法、光魔法、闇魔法を統一)

身体強化魔法、空間魔法、次元空間魔法、結界魔法、天候魔法、魔法合成

魔力操作、MP自動回復、HP自動回復、MP二倍、HP二倍、魔力吸収

武王(剣術、槍術、格闘術、弓術、鞭術、投擲術、鎌術、暗殺術を統一)

鑑定無効、隠密、隠蔽、気配遮断、魔力隠蔽、盗聴無効、神眼無効、視線感知、空間把握、思考加速、高速思考、並列思考、生命索敵、魔力索敵、緊急回避

状態異常無効、全属性無効、即死無効、無効貫通、神殺し、神気、神貫通



称号

女神に嫌われた者、賢者、大魔導士、剣聖、槍聖、拳聖、弓聖、鞭聖、投聖、神殺し、理を壊す者、創造者、闇を照らす者






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