やる気があったはずなのに
昨日は主に先生の自己紹介とガイダンスが行われたため、授業が始まったのは実質今日と言える。
最初だけやる気があるという人は一定数居るものだ。もちろん優もその一人である。
花蓮からのメッセージに返信した後、しっかりと切り替えて授業を受けた。もっと言えば三限目が終わるまでは授業に集中していた。
しかし、四限目が始まって数分経つと、どうにもそわそわしてしまう。板書を見ていた代わりに、窓の外と時計を行ったり来たり。
だいぶ長く感じた四限目が終わり、学食に春樹達と一緒に行く。新しい人間関係だからというのも当然あるが、授業から解放された時間だということも相まって非常に楽しい時間だった。
楽しい時間はすぐに過ぎてしまうもので、昼休みが終わり、五限目が始まる。
昼休みをきっかけにまた集中できた……ということは無く、ついに欠伸が出るようになってきた。
退屈しのぎに周りを見てみれば、大きく頭が下がった花蓮が目に入る。しばらく見ていても動く気配はないので、寝ているようだ。
優の頭の中で、優の天使の部分と悪魔の部分が喧嘩をしている。悪魔側には、花蓮の姿をした悪魔も加勢しているようだ。
(ちくしょう、花蓮の方を見るんじゃなかった)
もう後悔しても遅いが、そう思わずには居られない。
授業らしい授業が始まった初回で寝るのは、流石に優の良心が激しく傷んだ。
そのため、なんとか意識を保つことに成功したというのが勝負の行方だった。
板書を無心で写すことで意識を保とうと考え、夢のような物が見えた気がした時もあったが、なんとか手だけは動かし続けられたので起きてられたと言えるだろう。
授業終了のチャイムで途絶えかけていた意識が完全に復活した。授業が終われば眠くならないなんて、なんて都合よく優の体は作られているのだろう。
ふとノートを見れば、何を書いたかは覚えていないが、前くらい綺麗な字に戻ってはいた。
やる気が最初だけといっても、いくらなんでも短すぎだったのではないかと思わないこともないが、この成果で良しとしよう。
字が戻って満足していた優の頭に六限目の存在が突如として浮かび、絶望感から膝を着きそうになった。
しかし、間もなく教室に入ってきた担任から今日は五限目で終了だと告げられる。
どうやら、「テストに向けて勉強しろよ」という意があるようだ。
明日のテストは、定期テストよりは軽い物のようだが、小テストに比べたら重いものらしい。
字が無事に戻ったため、花蓮と勉強する理由が無くなったと言えば無くなったのだが、先生達の意に答えるために勉強するとしよう。
本当は勉強するところまでで一話にする予定だったのですが、だいぶ長くなりそうなので、短いですが、ここで区切らせてください。
区切りが細かく、読みにくくてすいません。
次のお話も読んでいただけたら嬉しいです。
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