残念な博士

 ある天才博士は、時間を超越する方法を考えていた。その博士はあまりにも天才すぎて学会からは異端児とされバカにされていた。


 博士は、学者仲間を見返すために人類が誰も成し遂げなかった偉業、タイムトラベルにチャレンジしていたのである!博士が研究を始めて早5年が経過していた。


そんなある日の事である。

「とうとう完成したぞ!」

博士の前には小さい箱のようなものが置いてあった。


博士は、なんと一定の空間上の時間を曲げ未来の時間を映し出す装置を発明したのだ。


「これで、私をバカにしてきた学会のやつらを見返せる!」

そういうと、博士は早速発表の準備に取り掛った。


しかし、博士に一つ大きな課題が降りかかった。

どんな映像を見せても信じてフェイク映像として捉えれてしまうかもしれないからだ。


「どうしたもんか?例えば未来の首都の映像なんか見せても恐らく奴らはフェイク映像として取り合ってくれないだろう。」


しばらくの間、博士は思案した

ふと、時計に目を落としたら準備を始めてから

5時間は経過していた。

「飯にするか」そう言って立ち上がった。


その時、博士の脳に電流が走った。

「そうだ!これだ、これならきっと未来の映像と認識してくれるに違いない!」


ーーーそれから、数週間後 とある会場にて


「えー、みなさんに今日お集まりいただいたのは他でもない!この素晴らしい発明をご覧いただきたい!」


そういうと、博士は隣に置いてあった物にかけられた布を勢いよく取った。


「これは、今未来の映像を映し出しています!」


そう叫ぶと、会場は静まりかえった。


しばしの静寂が続き一つの声が上がった。


「その時計、ズレていますよ!」


そう、装置には数時間後の未来の時計の映像を映し出していた。

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