第5話 デカくてマジ狂いそう
三日間ほど歩きようやく街へ辿り着く。その間は元々料理が得意だったので、彼に料理を振る舞ったり、何時ものようにセクハラをしてた。
楽しい。
この世界に来た当初は、何も娯楽のないつまらない世界と少し此処に来た事を後悔していたが、友達が出来るとこんなにも楽しいだなんて以前の人生でも知らなかった。
未だに彼と触れ合うとムラムラはするが、常に彼に引っ付いている為慣れてしまい、性欲はあれどそれ以上に彼と喋っている事でそれが緩和されていくのだ。
淫魔なんて難儀な種族になってしまったが、それを乗り越えた友情と考えると、この関係性が余計に尊く思えて嬉しくなる。
「……世界を救い終わってもこうして旅が出来たらいいですけどね」
「まあな」
我ながら彼に友情というものを些か感じすぎではないかと小っ恥ずかしくもなるが、これが男から女に変わった影響なのだろうか?
かと言って悪い気分でもない。以前と違う自分を受け入れることは何とも簡単ではあった。
「しかし……、そろそろ話した方がいいかもな」
「何を?」
「俺の旅の最終目的をさ。何にも話してなかったからさ」
そういえばそうだった。そんな事すっかり忘れてしまっていた。少々熱に浮かされすぎだなと、顔が少し赤くなる。
「前も言った通りに……、俺の父親が魔族を作ったと言っただろ?その境ってのが……、母さんが死んだタイミングなんだ」
「お母さんが……」
「その頃から父さんがおかしくなったんだ。そこからだったと思う、生物の研究を始めたのは。気付いたら魔族なんて物を生み出して……、母さんを……」
……まさか世界を救うというのは。
「ああ。父親と……母さんを殺す為の旅だ」
その旅は過酷なんて言葉だけで表すにはあまりにも残酷で……、勝利を掴んだ先に何も救いが見えない戦いであった事を知りました。
いや救いはあったのでしょう。エルザや残り二人の女の子達が、彼の救いとなるはずでした。
それをあっさりと快楽で滅茶苦茶にされてしまったのです。
「え、えと……」
「そういう顔するから言いたくなかったんだよな~。俺は覚悟も何もかも決めてる、他人から辞めろと言われようがこの道を歩み続ける事を選んだわけだから」
……駄目ですね、上手く言葉が出てきません。どうしようか悩んだ末に僕は少しだけズルい方法を取ったのです。
彼の背丈は170前半くらいで、決して低くはないものの。180センチ以上ある僕と比べればかなり小柄といえます。そして膂力も僕の方が高い為、簡単に押し倒す事が出来ました。
「お、おい……」
「黙れ」
彼を包み込むように強く強く抱きしめ、足を絡ませる。常にセクハラをし続けている僕ですが、こんなにも強く抱きしめた事はありませんでした。
「お前なぁ……、困ったら抱き付くの辞めろって……」
「……聖女様はこんな方法しか知らないんですよ」
そう、これ以外のやり方が淫魔である僕に分かるわけがありません。女性ならばもっと優しい言葉をかけたり出来たのでしょうが、元男である僕は奮い立たせる言葉しか思いつかなかったのです。
けれどもそんな言葉は残酷なだけだから、言いたく有りませんでした。だからこんな不器用な方法で彼に優しくする以外は思いつかないんです。
何よりも僕が悲しいので。こうさせてください。
──ギュッと抱きしめていると、彼に魔力が無いせいだろうか。まるで乾ききった砂漠に、水を注いでいるような感覚に襲われる。すると魔力を根こそぎ奪われたと言っていた彼に少しの変化が起きたのだ。
「……おい」
「何だよ……」
「何おっ立ててるんですか……!!!」
レーヴァのナニが元気になっていたのです。というか何かサイズがさっきからおっきくなって……、いや怖い怖い。本当に凄い膨張し始めてるんですが、何事ですか。
「分かんねえよ!? あの日以来全然元気になんなかったのに、何故か今凄い元気になってるんだが……!?」
僕の魔力が彼に少し移った影響なのでしょうか……? いやこれは中々……。
「いや……デカすぎね?」
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