第6話 匂いと感触わかるのヤバイ

日が沈み暗闇に包まれる。

騎士達は討ち漏らしがないか確認する、逃がさないようにするため魔法で邪教の拠点入り口を塞ぎ明るくなってからもう一度確認するよ予定のようだ。


危な、あのタイミングで出ることが出来て良かった。


騎士団のテントから少し離れた森の中1体のスケルトン、健斗が魔法を使う。


「【エアー セット プレス】巻き込まれちゃうから此処から離れないと」


この魔法は解放した時に大きな音立てて小規模な爆発起こすだけだからな、人を更に呼ぶために火付けるか…


(準備終わりました、魔法の制御手伝ってくれてありがとうございます。)


(大丈夫ですよ!)


実はこの魔法かなり難しい、まだ魔法を使い慣れていない健斗だけでは魔法を使おうとした段階で爆発し自滅する可能性があった。


「ふぅ…【セット プレス リリース】うぉ!」


バーン、と大きな音を立て近くにあった木が吹き飛ぶ。


えぇ、1人を吹き飛ばすのが限界だって知識にはあるんだけど明らかに威力おかしいだろ、ネフティー様のサポートのお陰なのか?


騎士達の焦る声とこちらへ向かってくる足音が聞こえる。


「【ファイアボール】後2回ぐらいやっとくべきか」


1回だけではそこまで燃えなかったため複数回撃っておく、かなり燃え広がった所で騎士達が到着した。


「まずい、消火だ!水魔法を使える者は放て!」


おぉ〜怖ぇ、気づかれないうちに迎えにいかないと。


(ケントさん私外出れました!合流してから走りましょう。)


(わかりました。)


スキル〈加速〉を使い走る。健斗は今使っているスケルトンボディの脚が折れないか心配だが、生前はそこそこの暗殺者だったおかげでかなり丈夫であり石に躓いたりしない限り折れることはないだろう。


気配的にはもう近いんだけどな…


スキルのお陰でかなり速く走れている、100メートル3秒ぐらいだろう。


「ケントさん、なんとか合流できましたね!」


どうやら少しだけすれ違ってしまったようで後ろからネフティーの声が聞こえる。


「見つけ…血まみれ!」


騎士に保護されたネフティーは白いワンピースを着ていた筈だが半分以上が血で濡れ赤く染まっていた、手には杖らしき物を持っており血が滴っている。


「あぁコレですか?少しだけ切ってきましたが殆どが返り血です!」


「少しだけ切る?それに返り血?!」


「私の血を残しておく事で攫われたように見せてるんです、バレた時の保険ですね」


ネフティー様すごいな、目的の為なら手段選ばない…


「そんな事よりもっと離れませんか?火も殆ど消えてそうです」


健斗は土地勘が一切無いためネフティーに先導してもらい走っているがネフティーの走るペースが少しずつ落ちている、少し苦しそうにしている。


「大丈夫ですか?」


「はぁはぁ、すいません私あまり体力なくて…もう限界です。でももう少し遠くに…」


「俺が抱えて走ります」


ネフティー様は見た感じ軽そうだし抱えて走れるとは思うけど、耐えてくれるかなぁ腕の骨。


少しだけ失礼な事を考えながら提案する。


「すいません、お願い出来ますか?」


深呼吸をしてから走り始める。

最初は背負おうとしたいたのだが骨しかない体では安定感がなくできず、最終的にはお姫様抱っこになった。


「このまま真っ直ぐ行くと滝があります、裏に空間があるので朝まで時間潰しましょう」


「ソウデスネ」


これからの事を話してくれているネフティーには申し訳なく思っているのだが健斗はそれどころではない。


なぜなら


めっちゃ良い匂いする!


思春期真っ只中の健斗には女の子に対する免疫が低くスケルトンじゃなかったら顔真っ赤になって照れていただろう。


ていうか俺スケルトンなのに匂いとか感触とかわかるんのか、ファンタジーだなぁ…


「最後に呼べたのが貴方でよかった…」


ネフティーが呟くように言った。


「少し眠ります、迷ったら起こしてください…」

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