ガンの話
峯松めだか(旧かぐつち)
第1話
今回のは物語と言うよりは覚え書きです。
最近何だかぐるぐるして物書き出来ないので、頭の中身を出力して整理しています。
「何だか気持ち悪い」
そんな一言が家族LINEに流れて来た。
発言者は母方の叔母さんだ、その一言に対して流れるように母が連絡して裏を取る、どうやらミネラル不足で痙攣が始まったらしい、良いから救急車呼べ、後始末も何もかもこちらでやるから気にするな。そんなやり取りが見れる。
因みに叔母さんは今70代、母は60代だ、叔母さんは結婚して同居しているが、同居の旦那さんはレビー小脳型認知症が始まっている為、余り頼りにならないので、1番仲の良い母の所と、我が家の家族LINEに連絡が来る。
叔母さんの病状としては、食道がんのステージ2が手術後全身転移が発覚してステージ4と言う状態の為、あまりよろしくない。
ガンの標準治療としては、一番最初に幹部を物理的に切除した後は、基本的に抗がん剤の科学療法がメインとなるので、二度目の手術は先ず無い、抗がん剤が何種類か有るため、効くモノを最初に手術で取り出した患部のがん細胞から遺伝子変異を調べ、其処から効果があると思われる抗がん剤を使用する。
一般的にはどうだか知らないが、手術後体力がある内に全体攻撃的ながんが小さくなる系。シスプラチンみたいな副作用がきついヤツを最初に使い、残った場合分子標的薬なんかの大きくしない系が使われた。
今回の手術の内容は、患部である食道を切除して、胃を細く整形して上に繋げると言う手術をした為、胃の上部の蓋の部分、噴門が上手く機能せず、常時逆流性食道炎状態で、何か食べる度にもどしてしまう摂食障害を手術後合併症として発症している為、かなり痩せてしまっているのだ。具体的には、150cmで25キロ無い位で有る、見ているこっちが不安になる。
冒頭に有るような栄養失調の弊害が常について回っていた。
アレを食え、コレはどうだ? と色々試して見ているが、手術の際に胃をかなり取ってしまっている為、胃が発する食欲ホルモンをまともに分泌できないので、当人の食欲が湧かず、湧いても食べた先から戻してしまうのと、元から食欲無い系の細い体格な為、結局見る見る内に痩せて行ってしまっていた。
このとき手術したのが2017年時点で、実はもっと良い手術法があったと言うのは後から調べて知ったことだった、新式では自分の小腸を一部切り取って食道代わりに使うという方法が手術後の回復が良いと知ったのはつい最近、2022年のこと、しかもこの小腸の自家移植は2008年に開発された新式とはいえ、ソレなりに普及した頃ではあったというのに選択肢に上がらなかったらしい、やはり患者も知識は欲しかったらしいと言うのは、悔やんでも悔やみきれない失敗だった。
尚、手術したのはかなり王手であるはずの○○がんセンターだったと記憶している、この手術の方式云々は、最初にガンなどと診断された際、「何処か掛かりたいところはありますか? 紹介状書きますよ?」と聞かれることが多いため、そのときに一度持ち帰って自分である程度調べる事が生死を分けることとなります、良い医者を選びましょう。
結局その伯母様は痩せていく毎に不具合が出て、歯茎が痩せて次々と歯が抜け、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で大腿骨骨折、手術で繋げたが、骨自体が繋がらず、大腿骨の上半分が丸ごと人工関節となりました、栄養不足で痙攣して居るぐらいは良くあること、最近は栄養点滴やってくれないんですね、ソレでも生きる気は有った様子で、レーザー治療も数回行い、潰しきれない分を医者が止めるのも構わず、セカンドオピニオンでオブジーボを仕様し、結果として体調が悪化し、今年の6月に旅立ちました。戦うつもりなのは良いのですが、無理をするとやはりろくな事に成りません。
対して先に肺がんにかかった母は、診断が出た際に「何処掛かりたいですか? 何処でも良いですが、国立国際医療研究センター病院お勧めします、私の古巣ですから」と言う、ある意味運命的な縁により、言うとおりに紹介状で飛んでいった結果、当時としては新式、国内数例の腹腔鏡手術(1穴)と言う珍しい状態となっていました。
因みに、母の病状は肺腺がんの手術前はステージ1か2だったが、がん細胞がどっかに流れた痕跡がある事と、取った後に数ヶ月で元の大きさに近いモノが近くに出来た為、ステージが2a
から2bに進行、今度は斬らずに化学療法、抗がん剤を2回行い、これが効かなかったため、今度は分子標的薬のイレッサを使い、増殖を止めていると言うのが現状です。
体力があればシスプラチン見たいなキツいのおかわりもありましたが、白血球や赤血球の数字が足りない何てのがザラだったため、2回で打ち止めです。
それと、手術は基本一回だけと言うのがお約束らしいです、肺がんの手術は5本有る枝を一本ずつ根元から取る感じなので、何度も出来ないようです。
ソレでも7年以上、現在も生存しているので立派なモノです、それでも段々と調子が悪くなっているのは、単純に加齢なのか、長期服用の副作用なのか、素人目には分かりにくいのが辛い所です。
がん患者の生存戦略は、このようにある程度時間稼ぎをしつつ、新しい治療法若しくは治療薬を待つことがお約束となります。ただし、新薬の承認というのは思った以上に時間が掛かるため、本当に長丁場となります、母のは時期的に目免疫チェック阻害剤のオブチーボとキイトルーダがギリギリ承認され始まった頃だったのですが、どうやら遺伝子変異的に余り効果が無さそうな型だと言われてしまい、今の分子標的薬で我慢する事となって居ます。
この当時は超高額な免疫チェック阻害剤、最終的に自己免疫でガンを倒せるため、一般的には副作用は少なく、一部では夢の特効薬と言われていますが、この業界はカタログスペック通りには行けません、中々世知辛いモノです。
次に開発中で、有力な治験中のラインは、第一三共のヘルペスウイルス、デリタクトか。オンコリスバイオファーマのアデノウイルス、テロメライシンが有力と思われます、この腫瘍溶錬ウイルス系は理屈の上では総てのガンに効果があるため、個人的に期待されています。
番外としてはオンコセラピーのヒカリ免疫システム、特定の薬品と特定の光でガンが破裂して消滅するという、珍しい治療法、コレもまあ治験中。
問題は、製薬会社に金がないため治験のパイプラインが余り増やせないと言うこと、先駆け医療で政府が推しているテロメライシンでさえ、たいした補助金が出ていない。
薬品の治験は部位毎にがんの遺伝子変異が違うため、総て別枠と成ります、脳腫瘍で認可されたからと言っても、別の部位に使えるわけでは無いため、理屈の上では効果が有りそうでも、結局使えないなんて事はザラです、新薬に期待しすぎてはいけない。
例に出したデリタクトは理屈の上では総てのがんに効くと言われますが、未だ脳腫瘍に認可されただけの段階な為、肺がんの母に使うとすると、脳に転移した段階でしか使えません、ここら辺は一切融通が利きません。
だからといって、「無理にでも使えますが、保険着用外の自由医療高額になります」なんて言うのは医療詐欺に近い何かが殆どのため信用しないこと、極力治療ガイドライン通り、保険着用できる標準医療をなぞることをお勧めします、この標準医療がその時点での統計上、一番生存時間を伸ばせる方法で有るからです、間違っても本屋の店頭に有る謎の「がんが治った○○」系は信用しないことです、アレは論文にすら成らない、妄言を書き連ねただけの馬鹿ホイホイです、雑誌ムーと扱いは変わりません。
母のガンが発覚した際、親父が「フコダイン」が良いって言うから調べてくれと言い出したことが有りますが、ただの昆布を粉にしたモノでした、ソレだけなのに妙に高い、馬鹿ホイホイじゃねえかとお説教です。
因みに医薬品は後発薬前提で特許期間がやたらと短く設定されているため、下手すると開発費がペイできない可能性すらある。尚且つ、医薬品の補助金負担も異様なことになるため、国から値下げを指示されたりしています、メーカー側も元が取れるかは、かなりの博打です。
更に問題は、例のコロなんとかパンデミックによって、他の国の医療もパンクしてしまい、治験の進みがかなり遅れてしまっていると言うことです、各社の製薬メーカーがこの治験の遅れで費用が嵩んでしまい、青色吐息となっています。
ああ? 株券刷り放題のアンジェスは如何したって? アレはどうでも良いんです、20年間株券刷るしかやってませんから、一つも治験が2相止まりで導出できていません、今更期待なんか有りません。
ソレはそうと、医薬品系の新薬は高額になりがちですが、外貨も稼げるため、国の補助金を積み込むには悪くない線だと思いますが、3相を突破して導出するのは一握りですし。赤字経営なのに妙に役員報酬が高額で稼ぎが良い、怪しいベンチャーが居るため、そんな底の抜けたバケツみたいなのは避けて欲しい所、アンジェス、お前のことだ。
更に言ってしまうと、BSだったかの特番、ガン特集でテロメライシンの治験で食道がんが綺麗に消えてしまう下りがあったため、「テロメライシンに賭ける!」と、親父がオンコリスバイオファーマに入れ込んでしまい、株券をひたすら買い増ししています、一時期5000円を突破しましたが、その後も持っている類いです、含み損がエグイです、現在の株価は余り見たく有りません。
かなりの金額な為、別の配当金が出る銘柄、例えばみずほ銀行とかなら6%の配当金が出ているところですが、製薬ベンチャーのこいつは赤字なので配当金なんか有りません、冷たいようですが、株券と治験中の薬品には余り惚れるモノではありませんね。
結局私自身も結構な数、コレで塩漬してあります。
治験を使えば導出前でも目当ての死新薬が使えるかもしれませんが、治験は基本的に二重盲験(にゅじゅうもうけん)で、アタリの薬品と外れのプラセボ、生理食塩水の当たる率が半々と成るため、絶対に使えるかと言うのは当てにならない為、結局使えないのです。
そんな訳で色々書いてみました。暗い話ですいません。
高額医療補助は助かりますが、がん保険は入れておくと安心ですね。掛かれば丸儲けです。
元が取れるかは神のみぞ知る所ですけどね?
ガンの話 峯松めだか(旧かぐつち) @kagututi666
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