第18話 そんなに急いでどこへ行く アカダニ

 毎年5月ごろになると、突然、赤く小さな虫が、ダイニングテーブルの上を疾走するようになります。

 アカダニです。

 私はアカダニが記載された図鑑などの図書を持っていないので、ネットで検索すると、正式名は「カベアナタカラダニ」というらしいです。


 ネット情報だと、ベランダやコンクリート壁によく見られるとありますが、拙宅ではもっぱらダイニングテーブルの上で見かけます。

 木造の家なので、彼らにとって外と中を出入りするのは、造作ないことなのでしょう。

 ダイニングテーブルには白系統のテーブルクロスが掛けてあり、その上を透明のビニールシートで覆っています。

 だから、ごく小さくても、真っ赤なアカダニはとても目立ちます。


 彼らの行動の特徴は、とにかく疾走していることです。クモのように時々立ち止まる姿は、見たことがありません。まったく迷う風もなく、まっしぐらに突き進みます。

 アカダニの体長を人間の大きさに置き換えて、移動速度を計算すると、超人的なスピードになるのではないでしょうか。計算する気は起きませんが。


 いったい、そんなに急いでどこへ行くのか? と尋ねたくもなってきます。

 運動のためとか、ただただ走りたいから、というのではなく、何か目的があるはずです。


 これもネット情報ですが、アカダニは基本的に人には無害だそうです。しかし、下手に潰すと、赤い色がその場所に付着して厄介です。

 私は、ティッシュで摘まみとって捨てます。


 5月ごろを中心に走り回るアカダニも、それを過ぎると、まったく見かけなくなります。

 どこで何をしているのやら。その生態は分かっていない部分も多いそうです。人や農作物への被害がないことから、研究する人はほとんどいないのかもしれません。

 アカダニを研究して、イグノーベル賞でも受賞する方はいませんかね。

 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る