第12話 優美な姿で得してる? ハクチョウ

 昨日(1/29)は、地元で小規模なウォーキング・イベントが開催され、私も参加しました。

 古い神社や城跡などを経て、目的地であるハクチョウの越冬地に至る、往復約7kmの道でした。


 水田に水を張った越冬地には、約1,000羽のハクチョウが来ていました。

 地元の、ハクチョウを保護する会の会長さんの解説を聞きました。


 来ているハクチョウは、オオハクチョウ、コハクチョウ、アメリカコハクチョウの3種だそうです。灰色がかった個体は、その年に生まれた若鳥です。


 説明を聞いた後、ちょうど餌やりの時刻となり、守る会の方々が餌をばら撒いていました。

 ハクチョウに、おこぼれをもらおうとするカモ類(オナガガモなど)も加わり、まるでスーパーに押し掛け目当ての商品に殺到する客のような状態です。


 ハクチョウは、繁殖地のシベリアから2,000~3,000kmの旅をしてきます。まずは北海道、稚内わっかない大沼おおぬま(道南の大沼とは別)などに来て、徐々に日本列島を南下していきます。


 私の地元には、11月中旬に到着し、翌年2月中旬に北を目指して飛び立っていくそうです。

 来た時に親と一緒だった若鳥は、越冬中に親離れし、二度と一緒にはなりません。


 こうしたハクチョウを守る会は全国各地の飛来地にあり、横のつながりもあるとおっしゃっていました。 

 ボランティアで一生懸命に白鳥の保護や世話をしている守る会の方々には言いませんでしたが、ハクチョウを見ているうちに、なぜ野生の鳥である白鳥に餌を与えて保護するのか、という疑問が湧いてきました。


 例えば、自宅の軒に営巣したツバメの巣から雛鳥が地上に転落しても、人の手で元に戻してはいけないと聞きます。野生動物に安易に人の手を加えることは、生態系を乱すことにも繋がりかねないからだと思います。

 ハクチョウに、人から餌を与えることは、生態系を乱すことにはならないのでしょうか?


 もしかするとハクチョウは、白くて美しく、上品とも思える姿で得をしているのではないでしょうか?

 『古事記』に、野煩野のぼのという場所で亡くなった倭建尊やまとたけるのみことは、大きくて白い鳥となって空高く舞い上がり、海に向かって飛んで行かれたとあります。

 白くて大きな鳥といえば、ハクチョウかツルを思い浮かべます。


 チャイコフスキーのバレエ曲「白鳥の湖」では、オデット姫や娘たちが、悪魔ロッドバルトによってハクチョウに変身させられてしまいます。


 上記の2例とも、ハクチョウだからさまになるわけで、これがカラスだとか、ハゲタカとか、ハシビロコウとか、あるいはペンギンでは、恰好かっこうが付きません。


 なお、誤解のないように申し添えると、私はハクチョウへの餌付けに反対しているのではありません。

 

 


 

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