第9話 徘徊性の居候 クモ

 明けましておめでとうございます。


 昨年末、お隣の庭木の枝に、ジョウビタキが留まっているのを見ました。腹から尾に掛けての橙色と翼の白斑はくはんが目立つ美しい鳥です。渡り鳥で、大陸からはるばる渡来するそうです。


 拙宅に鉢植えのトックリランがあります。春~秋はベランダに出していて、霜の降りる期間だけ家の中に入れるのですが、鉢が大きく、トックリラン自体も2m近くの高さがあるため、二人掛かりで家の中に移動させます。

 移動前には、鉢の底面をよく確認する必要があります。昆虫などが張り付いていることがあるからです。

 今回も鉢を傾けて底面を見ると……、いました。体長7~8mmの黄色い甲虫が5~6匹固まって張り付いています。

 ウリハムシではないかと思います。可愛そうですが、家の中に入れるわけにはいかないので、ブラシで落として、芝生の上に移しました。


 また、トックリランの葉には、トノサマバッタが1匹留まっていました。色はこげ茶です。こちらも、バルコニーの下の日当たりのよい場所に移しました。冬の間に死ぬのか、あるいは越冬するのかは分かりません。


 さて、新年の1回目に取り上げるのは、クモです。

 元旦、拙宅にきていた子どもたちとその配偶者、孫といっしょに食事をとろうとした時です。

 エアコンの室内機から、何かぶら下がっています。クモのようです。

 娘の夫が気を利かせて、ティッシュで捕まえようとするのを、私は押しとどめました。

 拙宅では、蠅、蚊、ゴキブリ以外の生き物は殺さないなのです。しきたりといっても、我が家に代々伝わる家訓などではなく、単に虫好きな私が勝手に決めているだけのものです。


 そのクモの体長は3mmくらいで、おそらく幼体(子ども)だと思います。

 私はクモがぶら下がっている糸を持って他の部屋に持って行き、観葉植物の葉に糸を巻き付けてやりました。

 

 そのクモの種類は分かりません。

 クモの種類は極めて多く、専門家かよほどのマニアでもない限り、たまたま現れたクモの種類を特定するのは難しいです。

 もちろん、ジョロウグモ、コガネグモ、オニグモといった非常にポピュラーなクモであれば、私にも分かります。


 クモというと、クモの糸がつきものですが、クモの中には網を張らないものもたくさんいます。

 家の中で見かけるクモは、ほとんど網を張らず、歩き回っています。これを「徘徊性のクモ」と呼ぶようです。


 家の中でクモを見かけた場合、再度同じ個体を見かけることは少ないように思います。拙宅は在来工法の木造住宅なので、クモにとって外部との出入りは何の造作もないのかもしれません。


 風呂に入ろうとした時に、浴室にクモがいると困ります。別にクモが怖いというのではありません。お湯を使うとクモが流され、排水溝に吸い込まれてしまうからです。手で直接掴むと潰してしまう恐れがあるので、タオルなどに乗り移らせて、浴室の外に移してやります。


 徘徊性のクモの中で、クモ・マニアに人気なのがハエトリグモの仲間だそうです。確かに、動きが面白いクモです。ある地点から動かずに、ぐるりと方向だけを変えることができます。まるで、キャタピラを備えた戦車のようです。かと思うと、すごい跳躍力を見せることもあります。

 拙宅でもまれにハエトリグモを見かけますが、やはり、繰り返し出会うことはほとんどありません。


 クモについて話し出すと長くなってしまいますので、今回はこの辺で終わります。


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