第8話 夫婦仲の良いキジバト

 身近にいる鳥として忘れてならないのは、キジバトです。ヤマバトとも呼びます。

 拙宅の庭は「猫の額」のようなものです。それでも時々キジバトが来て、ゆっくりとした足取りで歩きながら、地面をついばんでいます。


 野鳥にしては警戒心があまり強くなく、かなり近づいても逃げません。野良猫に捕まったりしないか、少し心配になるほどです。


 体はブドウ色を帯びた灰褐色で、首のところに、黒と青灰色のウロコ状のまだらがあるので、すぐに見分けられます。

 鳴き声は「デデッポーポー」を繰り返します。


 は仲がいいようです。

 庭を一緒に歩いたり、近くの電線に2羽仲良く並んで留まっているのを見かけます。なかなかほほえましい光景です。

 ただ、になったものは一生添い遂げるのか、たとえば毎年相手が変わるのか、私は知りません。

 庭にキジバトが来ていると、なんだか嬉しくなって、驚かさないよう、そっとしておきます。


 さて、似たようなハトで、都会の公園や駅、寺の境内などで群れているのは、ドバトです。

 ハトというと、キジバトなどよりドバトを連想する方も多いと思います。

 ドバトは、ユーラシア大陸に分布するカワラバトから家禽かきん(食用・採卵用・愛玩用に人間が飼育する鳥)として作られたものが、市街地で野生化したハトだそうです。

 ハトは平和の象徴とされることもありますが、ドバトには迷惑を被ることもあります。

 多数が群れる習性があるためか、糞害に悩まされることも少なくありません。特に駅構内のはりに留まっていることが多々あり、「爆弾」を投下されると大変です。

 駅側も、梁にトゲトゲを植える、ネットで覆うなどの対策を講じているようですが、油断はできません。


 ドバトのもとであるカワラバトは、岩山のようなところに住んでいたのかもしれません。

 だから、都会の「岩山」であるビルや駅など、高くて凹凸がある場所を好むのでしょう。


 駅などでドバトの動きを観察していると、あまり人間を恐れる様子はありません。平気で足元を通り過ぎていく姿に、図々しささえ感じます。

 ドバトは、繁殖力がとても強いようです。駅のホームで、近くにいる人間を尻目に、体が一回り大きなオスが、小柄なメスを追いかけている姿をよく見かけます。

 いささか品のない例えですが、あの姿を見ていると、女性の尻を追いかけ回す脂ぎったオッサンを思い浮かべます。


 その点、キジバトはおっとりしていて、ドバトのようにガツガツしていない印象です。なので、つい依怙贔屓えこひいきしてしまいます。



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