その瞬間

 家族とはいつも巧く行っていなかった。


 テストで良い点数を取っても『期待外れ』と言われ。


 何か目標ができて、学校のテストの点数なんか必要ないと言うと、『そんな話聞く必要がない。いいから勉強しろ。』と怒鳴られた。

 



 唯一の友人に相談すると『何か趣味を見つけるのはどうだ。』と言うのと同時に彼はカメラも一緒に渡してきた。


 その日から僕は学校帰りに毎日、街中を歩き回った。


 親に帰りが遅いと怒られた。


 しかし、何も感じなかった。


 街中を歩く楽しさに比べたら痛くも痒くもなかった。

 



 そんなある日のことだった。


 いつも通り何かを求めて街中を歩いている時のことだった。


 僕の目に写ったのはアニメのワンシーンのような情景だった。

 それは沿岸を歩く一人の少女の姿だった。


 僕はすかさず首に掛けられたカメラを手に取りシャッターを切った。


 写真を見返した瞬間に僕は思った。





 「僕はこれを求めていたんだ。」

 僕は写真に恋をした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

三年間の描写 冬城夏音 @tojyokaon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ