三年間の描写
冬城夏音
懐かしい後景
恋は求めるほど悲しくなる。
恋愛ソングを聴いたり恋愛小説を読むとこんなに巧く行く訳がないと悲しくなる。
さらに悲しくなるのは恋が叶わなかった時だ。
その上である、一番悲しいのは恋が叶わないと解っていても尚、求め、追い続けることだ。
夏休みのある日。
高校生の私は水平線を見つめながら沿岸を歩く。
海風で涼む私の頭の中にはいつも隣に居た貴女の姿がある。
その姿に懐かしさを感じていると、自然と今までの様々な思い出が蘇ってきた。
記憶の中には当然苦いものもある。
その思い出も今では微笑むことが出来る。
けれど、やっぱり悲しい。
でもちょっぴり嬉しかった。
喧嘩の中に今まで私の知らなかった貴女を見つけた。
何かあったら貴女に相談した。
何も伝わっていなくても貴女は頷いて助言をくれた。
そんな貴女がやっぱり愛おしい。
毎年、一緒に夏祭りに行ってくれて嬉しかった。
金魚掬いや射的、綿飴を食べる。
どれも貴女とすることができて楽しかった。
それは何事もない日常、いつも通りの日常でも同じだった。
貴女の話はいつも面白かった。
貴女は私の話を聞いて笑ってくれた。
話しているだけで、それだけでどれだけ楽しかったか。
今では明確に分かる。
二年前の卒業式、一緒に写真を撮った。
桜と一緒に私の目に写った貴女はいつも以上に綺麗だった。
貴女の笑顔はいつも私を救ってくれた。
貴女の隣に居た私はいつも幸せだった。
貴女はふとした時私のことを思い出してくれているでしょうか。
私はいつでも貴女のことが好きです。
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