第2話

 フィールドに出ると視界の右端に天気と気温が表示される。喉の渇きや体温の概念があるため長時間外にいることはできない天候の場合もある。本日は曇り時々雪、気温は-8℃と表記されていた。道が街から一本敷かれており、歩いていくと2方向に分かれていた。右は”ノースダルコナ”左は”フィッシュタウン”どっちに行こうか迷っていると背後からぽよん ぽよん と、何かの近づく音がする。振り向くといかにもスライムです! というような形のスライムがいた。上に”スノースライム”の表記と緑色のHPバーが表示された。3体のスライムは跳ねながらゆきのに攻撃を仕掛けてきた。バク転で攻撃をかわし、腰と太ももに携えた銃を引き抜きためらうことなく引き金を引く。セミオートのそれを5発撃って3発ほど先頭のスライムに当たる。ダメージ表記で”10”と表示されドットに変化し消えていく。同時に左下に

「スノースライムが図鑑に登録されたよ!」

 スノリンがひょこっと出てきた。HPは9程度らしいこの銃なら一発撃つだけで倒せる。そう理解して二匹目のスライムも撃破した。3体目、と思ったが様子がおかしい。モンスターのネームプレートが赤いのだ。普通は見やすい緑色のはずだ。左下のスノリンが再び出てきた。

「赤いプレートは同族殺しをしたモンスターだよ! 普通より手ごわいから気を付けてね!」

 赤プレートのスノースライムは咆哮を放つ。あまりの大きさに耳をふさぐ。その間にスライムは突進をゆきのに思いっきりぶつかった。30メートルほど吹き飛ばされどうにか受け身を取る。HPバーは2割削れていた。左上の全身を表記したところには腹部が黄色く変色している。緑、黄色、赤、の順番にダメージはひどくなるようだ。スキルを使用しないと勝てないと思いスキル欄を開く。まだファニングショットしか取得していない。スキルの内容は、”セミオート、リボルバー限定スキル。弾倉に入っている弾をすべて一度に消費します。”そこまで読んで後の説明はゆっくり見ようと判断し銃口をスライムに向ける。銃が黄色く光り、すさまじい銃声と共に一丁25発、二丁合計50発の銃弾をスライムへ打ち込んだ。スライムは吹き飛びながらポリゴンになって消えていった。落ち着いて各ステータスを見ると体温の値が水色になっている。体温は緑から青、水色、白と変わるようだ。スノリンが大体教えてくれた。初期所持品の簡易キャンプキットを展開し、焚火を焚いて暖を取った。そこに一つの足音が聞こえる。ゆきのはゆっくりと銃に手を伸ばしながら体を温めるために作ったベリーのスープを飲んだ。

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