第1話

 ゲームの中に落ち、地面に激突するかと思ったがそんなことはなかった。くるっと頭を上に地面に降り立った。真っ白な空間に落ちてきて目の前に雪の結晶の形をした妖精が話しかけてくる。

「やぁ! ぼくはスノリン。スノーランドの案内役だよ! 早速君の情報を登録するよ! ヘッドセットの情報を使うか、携帯端末の情報を使うか選択してね!」

 これはゲーム中にアカウントを紐づけるための選択だ。携帯を選ぶと万が一強制終了することがあっても端末のデータからバックアップが可能になる。とはいえフルダイブが実現してから10数年がたった今、古いヘッドセットならともかく、最新のヘッドセットでおきるとは考えられない。

「ヘッドセットの情報」

「ヘッドセットの情報で登録するよ! アカウント名、ゆきの アカウントID130211 登録完了! それじゃあ、初期装備を選んでね!」

 目の前に装備の画面が表示される。短剣や双剣、太刀やライフルがある。その中にゆきのが見つけたのは2丁拳銃。そこそこ小柄な彼女でも十二分に扱うことができるだろう。

「決まったかな? では! イッツスノーランド!」

 視界が真っ白に染まり次に目を開けるとそこには雪の降る街が広がっている。町の中にはいろいろな装備を付けたプレイヤーが話して歩いている。ここでスノリンが視界の端でテロップを出している。

「このゲームはPVPVERPGだよ! 街の外ではモンスターとプレイヤー、はたまたプレイヤー同士が戦闘をしてるよ! 襲われないように気を付けてね!」

 テロップは30秒後に消えた。所持金は……1500スノー。街のパン屋に食料調達のために入ったときに乾パンが100スノーだったので大体の物の価値は理解した。タスクと呼ばれるチュートリアルが用意されている。”外でスノースライムを5匹倒す”というものだった。ターン制ではなく、人間の好きに戦闘することができる。スキルの時のリキャストや攻撃中のモーションはあれど比較的自由に戦闘を行える。戦闘の腕試しとフィールドの探索のために、街の外へ向かった。

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