ゆきのの大冒険
小雨(こあめ、小飴)
プロローグ
身体構築開始、キャラクターネーム。登録、”ゆきの”重複、なし。
機械音声で告げられる。先ほどようやく届いたフルダイブ型ヘッドセットにカセットを入れて電源を入れる。一瞬意識がなくなり、気が付くと身体スキャンの画面が目の前に映し出されていた。設定をして降り立った場所はVR広場と呼ばれるフルダイブゲームのプラットフォームだ。中央の大木は世界樹と呼ばれ、木の下ではギターを手に歌ってる人がいたり、大道芸をしたりと自由に活動している人たちがいる。世界樹を中心に円形に立っているこの土地は白い板でできており、外周には様々なゲームのタイトル画面とそこに向かっていくための階段がある。ゆきのの今日やるために買ったゲームは”スノーランド”雪降る銀世界のオープンワールドRPGでいま人気を集めている。階段をコツコツと昇り入ろうとした。が、ごつんと見えない壁にぶつかる。まるで自動ドアが開かなかった時のように当たりはじかれ階段をゴロゴロと転がり落ちていく。起き上がったゆきのんにつきつけられたメッセージは、
『アバターの制作を完了してください』
さっき作ったじゃないかと思い顔を体に向ける。そこでゆきのはぎょっとした。なんと首から下は白いもやもやで包まれている。よく見ると右手の手首に装着された端末から服装の選択画面が印されている。よく見ると周りにいるアバターは思い思いの服を着ている急に恥ずかしくなり、いそいそと服装を選択する。初期衣装の半そでとミニスカートを装着し、改めてスノーランドの目の前に立った。恐る恐る手を表示画面に伸ばす。いたみたいに触れると思っていたらまるで水のように腕が呑み込まれていく。
もちろん体重をかけていた足は取り乱し、そのままゲームの中に落ちていくのだった。
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