第42話 3人目?


城の兵士のお呼び出しにより、俺たちは部屋を出ると、俺としては行きなれた場所である謁見の間へと向かう。

そして、俺たちが謁見の間の扉の前に到着すると、


「ギィィィ...」


俺たちを迎え入れるかのような絶妙なタイミングで扉が開く。

そして中にはいつも通り手前には数人の兵士と、奥には大臣数名、そして王女様が立って俺たちを迎え入れる。


いつもと同じように思えるこの光景、しかし今回はいつもと比べ、明らかに雰囲気が異なっていた。


「救世主様の登場だー!!」


いつもは鳴らないトランペットが響き渡り、周りの兵士たちも俺たちを歓迎のまなざしで見つめ、歓声もあげてくる。


状況、雰囲気ともに今までと明らかに違うこの状況に、救世主の存在のすごさというものを、改めて再確認する。


(なんか、俺の時より豪勢な感じだな...)


また、カインの時と比べ、明らかに歓迎されているこの状況に、俺は少し切なくもなってしまう。


そして俺たちはそのまま中へと入り、きれいな絨毯の上を堂々と歩くと、前にある玉座に座っている王様の数メートル前で止まり、ゆっくりと膝まずく。


「救世主よ、よくぞこの王都サキトにやってきた。私がこの国、サキト王国の王である」


王様は俺たちに向かって初めて会ったかのように振る舞うが、俺としては何度もあったことがあるため、違和感を覚えてしまう。


「私はこの度天命により救世主に任命されたアランと申します。そして隣にいるのが、」

「救世主様の仲間として、ともに旅をしているケインと申します」


そして俺たちはそう名乗ると、


「ふむ、さてアランよ、さっそく本題に入るのだが、お主がここに来た理由は新しい仲間を見つけるためで間違いないな?」

「はい、天命に従い仲間を探すため、この王都に来た次第です」


王様はさっそく本題に入り、アランもそれに応えるようにそう返事をする。


「よし、ではさっそく顔合わせをしてもらおう...アメリア!」


そして王様はアランの返事を聞くと、とある名前を言う。


「コツコツ、」


すると、王様の声に合わせて謁見の間の扉から、とある人物が一人が入ってくる。


「お呼びですか?陛下」

「こちらがお前とともに旅をすることになる救世主とその仲間のケインだ。アメリア

よ、その二人に自己紹介を」


その人は金髪長髪の女性で身長も170㎝以上と、女性としては高い。

そしてスタイルもよく、全体的にスラッとしているものの、出るところは出ているという、まぁ男性からしたら魅力の塊と言える体型だ。

その上、騎士団と言っているのに、鎧もそこまで豪華というわけでもなく、上半身にちょっとした鎧を着ているくらいの軽装ときたものだ。

男である俺としては、ちょっと目のやり場に困ってしまう。


王様の発言から、アメリアは俺たちに向かってしゃべりだす。


「初めまして、救世主様とケイン殿。私はこの国の騎士団の団長を務めております、アメリアと申します。この度、天命により救世主様の魔王討伐の仲間として旅について行くこととなりました、よろしくお願いいたします」

「救世主に任命されました、アランです」

「救世主様の仲間のケインです」


そう言って、俺たち二人とアメリアがあいさつを交わすと、


「挨拶はこれくらいにして、詳しい話は3人でするがよかろう。2人とも、今回の旅で疲れてはいまいか?今回は城に部屋を用意したゆえ、旅立つまでそこでゆっくりしていくがよい」


王様はそう言って、今回の謁見を終えることになるのだった。



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「今日はこちらの部屋をご用意しております。それではお二人ともごゆっくり」


謁見が終わると俺たち二人は、城のメイドさんに案内されて先ほどの部屋へと戻る。


「ふぅ~、やっと休める」


俺はそう言って、部屋にあるソファに思いっきり腰を掛ける。

今まで長い旅をしてきたのだ、精神的に少し休みたい。


「アメリアって人、あとでこの部屋に来てくれるらしいよ」

「ならそれまでのんびりするとしますか~」


ひとまずやることもなくなり、やっと休むことができると思った、その時だった。


「コンコン...」


ノックをする音が、俺たちの部屋に静かに鳴り響く。


「早いな、アメリアって人もう来たのか?」


俺はそう言うと、けだるそうにしながら部屋の扉を開ける。


「は~い...」

「こんにちわ、ケイン様!」


すると俺は目の前に映る人を見た瞬間、気分を変えてしまうことになる。


「あはは、今回はどのようなご用件で?...」


扉の前には、服を着替えてきてお城用の服装をした王女様が立っていた。


「今お時間よろしいですか?少しの間でいいので私の部屋に来ていただきたいのですが...」

「い、いやっ、あのこれからアメリアさんと会うことになっておりますので後にしていただけないかと...」


予想してなかった展開に、俺は戸惑いながら王女様の提案を丁寧に断ろうとするのだが、


「いえ、本当に少しの間だけですので。それに御用があるのはケイン様だけですし、特にケイン様のでは、すぐ終わりますよ」


王女様は笑顔で手を合わせながらそう言ってくる。

やばい、まだ王女様は俺がカインではないかと疑っているらしい。

早く終わらせたいが、はっきりと俺の正体を言うわけにもいかないし...あぁ、どうしよう...


「アメリアさんもそんなに早くは来ないと思うし行ってきなよ、カ...違う違うケイン」


アランの野郎、この状況が面白いのか知らんが調子に乗りやがって!

その上最初俺のことカインって言い間違えてたなコイツ、絶対わざとだろ!


「救世主様もこう言っていることですし、行きましょ!ケイン様」

「ちょ、ちょっと、王女様!!」


王女様は無理やり俺の手をつかみ、俺を自分の部屋へと連れていく。


「いってらっしゃ~い」


その上アランは楽しそうにそう言いながら、ただ俺を見送るのみ。


あ~あ、どうしよっかな~。



俺はそのまま王女様に連れられ、俺としても入りなれている王女様の部屋へ到着し、そのまま中へと入っていく。


「ここが私の部屋です。見覚えとかございますか?ケイン様」


王女様は変な意味を含めて、俺にそう言ってくる。


「さ、さぁ、初めて入りましたので見覚えとかはないと思いますが...」


俺としてはなんのそのと、そのまま否定する。


俺はこの時点ではすでに決めていた。

「王女様が俺がカインだと確信していない限り、隠し通すのだ」と。


「まぁいいでしょう。とりあえずお掛けになってください」


俺は言われるがまま、いつも俺が座っている椅子に腰を掛ける。


「さて...」


そして王女様も、俺の後に続いて腰を掛けると、


「ケイン様、何か私に隠し事などはございませんか?」


ド直球で本題に入ってきた。


「いや~、会うのも初めてですし隠し事なんてないと思いますけどね~」


俺はくじけることなく、そのまま知らぬ存ぜぬの体制を貫く。


「あの、ケイン様、私以前こういったことはございませんでしたか?『私、人を見る目だけはある』って」


(あ~、言ってたっけな~そんなこと)


俺は過去の記憶を思い出しながら、そんなことをのんきに思っていると、


「だから、私がケイン様に会った時から気づいていたんですよ...」


王女様はこれから、俺がカインではないかと思っていたのも、人を見る目があると言ったのも、ちゃんと根拠があるのだということを示すことになる。


「ケイン様の体に流れる魔素の特徴が、カイン様と全く一緒だってことが...」


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