第11話 王都を目指せ!
「ウガァーーーーー!!!」
「あぁー!!!きたーーー!」
2人が大声で驚いているうちに、その巨人は俺たちを姿をとらえ、襲い掛かってきた。
巨人は思いっきりこん棒を振りかぶる。
「ケイン、危ないっ!!」
振りかぶったこん棒はそのまま俺の方へと向かっている。
そのため、2人が思わず俺にそう叫んだのだが、
「大丈夫だ。安心しろ」
俺は二人にそう言うと、俺は巨人の攻撃をもろに受ける。
「ケッ、ケイン!!」
二人はもう一度大声を出して驚く。
しかし、衝突の際に起きた砂埃が晴れると、俺は何事もなかったかのような無傷な姿を2人に見せる。
「あ、あれっ?」
当然と言えば当然だ。
現在俺たちは何十キロというスピードで走れる筋力と、そのスピードで走っても一切疲れない体力を持っているのだ。
あとはバリアーをより強固なものとすれば、ダメージは一切受けることはない。
「アラン、バリアーを強化して反撃に出るぞ。イルルはまだ魔法が使えないから端の方でじっとしててくれ」
俺はそう言うと、イルルのバリアーを強化し、反撃体制に出る。
「よ、よーし。ちょっとびっくりしちゃったけどこれからが本番だもんね~」
そしてアランも巨人に向かって走り出すと、強化された筋力を使って思いっきりジャンプし、
「くらえ~!!」
頭に渾身のパンチをくらわせる。
「ウガーーッ!」
すると巨人はひるんだように頭を回しだす。
「おぉー、アラン結構武闘派だな~」
俺がアランに感心しているのもつかの間、
「ウガーーーーーーー!」
「うわー!!」
巨人も負けじとアランが着地する前にこん棒を振り回し、アランを洞窟の壁へと吹っ飛ばす。
「アラン!」
俺は心配して、そう叫んだのだが、
「うわー、びっくりした。でも全然痛くないや」
アランは何事もなかったかのようにピンピンしている。
「驚かせやがって、心配して損した。よし、俺も反撃だ」
俺も負けじと走り出し、
「よいしょー!」
アランと同じく巨人に向かってジャンプし、思いっきり回し蹴りをくらわせる。
「ウガーーーーーーー」
すると、その攻撃が決め手となってのか、巨人は後ろに思いっきり倒れる。
「あれっ、もう終わり?」
俺はさすがに早いと思い、巨人に駆け寄るが、巨人は目をつぶって気絶している。
「やったー!僕たちの初勝利だ」
「お、終わったの?」
アランの叫びにイルルも恐る恐る巨人に近づく。
本当にこれで終わりのようだ。
子供の攻撃2発で終わってしまった。
まぁ、筋力は大人の何百倍にも強化はしているが...。
「それにしてもあっけなかったね~。それで、巨人のどの部分を買い取ってもらうの?」
「それは安心してくれ、世の中にはこういったものがあるのだよ」
俺はそう言いながら袋をごみ袋くらいの大きさの布袋取り出す。
「その袋がどうかしたの?」
「ふっふっふっ、聞いて驚け。この袋はどんなにたくさんの量でも入れることができる魔法の袋なのだよ」
俺はそう言いながら持ってきていたカバンからナイフを取り出すと、
「これから袋に入るくらいの大きさに分解するから、ちょっと二人とも後ろ向いてて。絶対に振り向いちゃだめだぞ、絶対にな!」
そう2人に警告する。
すると、二人はこれから俺がすることを察したのか、何も言わずに後ろを向く。
そして、俺は巨人に強力な催眠魔法“ヒプノシス”をかけると、巨人の体をバラバラに切っていく。
やっている自分が言うのもなんだが、刃を入れるたび体から血を吹き出すこの光景はとてもじゃないが見ていて気持ちのいいものではなかった。
俺が心までも本当に10歳児であったのなら、こんなことはやっていないだろう。
体全体を切り終えると、布袋の中に体の一部を一つずつ入れていく。
すべて入れ終え、何もなくなってところで、
「よ~し終わった、二人ともこっち向いてみて」
俺は二人に話しかける。
「あれっ、巨人がいなくなっちゃった。どこへ行ったの?」
「もうすべてこの袋の中さ。あとはこれを冒険者組合に持って行っていけば巨人の死体を買い取ってくれる」
「へぇ~、便利だね。こんないいものもってたの?今度僕の分もちょうだいよ」
「これは貰い物だからだ~め。使いたくなったら今度貸してやるから」
俺がそう言うと俺たちは用もなくなったため、そのまま洞窟の外へ出る。
そして俺たちが外へ出た時には、もう日が沈み始めていた。
「やっべ~、もう夕方だよ~。早く王都に行って回復術師を探さなくちゃ」
俺はそう言うと、走る体制をとる。
「え~、また走るの?もう疲れちゃったんだけど」
「あとちょっとだから我慢してくれ。あと半分だから」
「全然ちょっとじゃないじゃん!」
こんなことを言いつつ、俺たちはさっきの森の中以上のスピードで王都へ向かうのだった。
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「やっと着いたー!」
俺は両手を上げながらそう叫ぶ。
今、俺たちの目の前には巨大な壁がそびえたっている。
そう、やっと王都に到着したのだ。
王都は俺たちの身長の何倍もの高さを誇る巨大な壁が周りを囲い、守られている。
入口は北門と、西門、南門の3つがあり、俺たちのいる北門には門番が2人立っていた。
「ねぇ、王都に着いたはいいけど、そういえばどうやって中に入るの?王都の住人でもない僕たちがこんな時間に中に入れてくれるとは思えないけど」
現在、日は完全に沈み、夜になっている。
確かにアランの言う通り、こんな時間に見ず知らずの俺たち子供3人を王都に入れてくれるかというと考えにくい。
「大丈夫だ。俺に考えがある。お前たちは“トランスペアレント”を使った後、俺についてくるだけでいい」
「え、それでいいの?でも門は閉まっちゃってるから門番の人に開けてもらわないと中に入れそうにないよ。透明になるだけじゃどうにもならないと思うけど...」
「いいからいいから、俺を信じてついて来いって」
俺はそう言って2人に魔法をかかて透明にした後、俺は自分自身に2人とは違う魔法を使う。
「あれっ、ケイン。その姿!?」
2人がまた驚いているが、今回も無理はない。
2人の目の前には見ず知らずの成人男性らしき人が俺の代わりに立っていたのだから。
「どうだ2人とも驚いたか」
「う、うん。びっくり!」
「な、何言っているんだよ。“トランスフォーメーション”を使って大人の姿になっただけじゃん」
イルルは驚いたままだが、アランはすぐに魔法だと気づき、ツッコミを入れる。
そう、俺はこういった状況でも対応できるようにあらかじめ大人の姿というのもデザインしていたのだ。
その姿は、身長は170cmくらいで髪もダークな感じを装おうと黒髪にし、服も黒で統一している。
「俺がこの姿で門番の人に門を開けてもらうから。お前たちはそのままついてくるだけでいいぞ」
「わ、分かった」
二人の返事を聞くと、俺は門の前へと向かう。
「お、カインじゃないか。依頼は達成したのかい?」
すると、門番が気さくにそう話しかけてきた。
「ま、まぁな。これから冒険者組合に向かうところだ」
俺そう言いながらいつも通りといった感じでとあるカードを門番に見せる。
「はい、冒険者カード確認っと。まぁ今回も無事で何よりだ。さぁ、中に入んな」
門番はそう言うと、何事もなく門を開けてくれた。
俺たちはその開けてくれた門をくぐり、王都の中へと入っていくのだった。
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