『誰もいない首都』 12
お手洗いから、御徒町さんに案内されたぼくは、廊下の途中で、意識を失った。
そのあと、ばらばらに、調理されて、かなりの数の、紫色の真ん丸な宇宙生物に食べられてしまったのだが、それは、分からないのである。
🍳🔪🎽
一方のぼくは、お手洗いの洗面所で、全身パープルなスーツに、パープルな靴、パープルなサングラスにパープルな帽子、というスタイルに着替えさせられた。
『これは、もしかして、メンインパープル?』
『さようです。政府の殺し屋です。一番安全な姿であります。』
『なんで、また。』
『実は、首相に、予定外の来客がありまして、あなたさまを、直ぐに避難させるように、指示がありました。』
『な、な、な、なんで、また。』
『あとで、ご説明いたします。』
ぼくたちは、やたらに、飾り気のない、コンクリ剥き出しの通路を進み、やがて、駐車場のような場所に出た。
そこには、自動車が数台、停まっている。
『2010 年型の自動車です。』
御徒町さんが、紹介してくれた。
『自動車は、分かりますよ。ぼくも、持ってます。ただし、20世紀の、古いガソリン自動車です。ガソリンがなくて、動かない。もはや、電動車も、なかなか、充電できないらしいですが。』
『さようです。こいつは、初期の電動車です。政府の自動車です。途中まで、お送りします。その先は、エージェントが、お住まいに案内します。ただし、今の所は、危険なので、隠れ家ですが。まず、乗りましょう。わたくしが、運転します。免許は、ちゃんと持っております。』
御徒町さんが、助手席側のドアを開けた。
『リニアモーターカー以外で、外に出る経路は、これだけです。警備員に止められる可能性は、まずありません。飛行機は、コストがかかりすぎるので、ほとんど使いません。政治は、大概は、バーチャルです。』
御徒町さんは、見事なドライビングで、地下の通路を突っ走り、やがて、地上に出た。
『おわ!』
そこは、緑色一面の高原地帯で、高い山が四方に迫っていた。
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