第15話 二人にとっての毒

どうも、マチです。

村を見つけた私達は、今日はそこで過ごす事を決め、宿屋で部屋を借りた後、困ってる人がいないか村の中を散策することにしました。


洗濯物を干す、掃除の手伝い、畑の獣を退かす、お婆さんの話し相手、その他沢山の人助けをして、気が付けばあっという間に村の端に着いてしまいました。


「今日はいっぱい人助けしましたね」


私は歩きながら、グイードさんに喋りかけました。


「ああ、人助けは気分がいい」


「そうですね…ん?あそこに人が集まってますよ」


民家の傍の木に二組の夫婦らしき人達が木の根元を囲むように立っていました。


「声かけてみますか?」


「もちろん、何かあったのかもしれないからね」


私たちが彼らの近くへ行くと木の根元で若い男女が手を繋いで真っ白な顔をして、動きそうにはありませんでした。


これは何かあったなと思った私は彼らに現状を聞きました。


「何かあったんですか?」


私がそう言うと、彼らは困った顔をして口を開きました。


「この子達が毒キノコを食べてしまって…」


毒キノコは種類によっては死に至ります、このままではまずいと思ったので、種類を聞きましたが、わからないとのことなので、急いで近くの森へと私達は解毒草を探しに行きました。 


森へ入ってしばらくした時、興奮から少し頭が冷めた私は少し冷静になり、先ほどの彼らの態度に疑問を抱きました。


「グイードさん」


「なんだ?」


「さっきの二人のご両親らしき方々、あんまり焦ってる感じがしませんでしたよね」


グイードさんは腕を組んでうーんと唸りました。


「確かにそれは思ったが、きっと散々焦った後なんじゃないか?」


「それで半ば諦めてた…?」


「かもしれないな…」


「諦めるか…」


釈然としないまま、解毒草を摘んで足早に村へと戻り、顔色の悪い二人に食べさせました。


「ありがとうございます」


倒れていた二人の顔色はみるみる良くなり、立ち上がりました。


「なんで…」


「え?」


男性の方がそう小さく呟くと、男性のお父さんと思われる方が「黙れ」と言いながら彼の頭を殴りつけ、私たちににこやかな笑顔で感謝を述べると、二組の家族は別々の道に歩いて行きました。


「じゃあ、私達も宿屋さんに戻りましょうか」


「ああ…」


私はそう言って進み始めました。


「あれ?」


しかし、グイードさんがついてきていない事に気づき振り向くと、彼はさっきの場所に立ち止まり、彼らが歩いて行った道を眺めました。


彼の元へ戻り、ぼーっと眺めている彼に話しかけました。


「どうしました?」


私が問いかけると、グイードさんは一瞬ハッとして、何を考えているか分からない顔をして私を見ました。


「本当に助けてよかったのかな…」


「命が助かったんですから、そりゃあ、助けてよかったんですよ」


すると、グイードさんは声を荒げました。


「でも、彼らの両親なんだか仲が良くないように見えたし、最後に彼がなんでって…」


私は、荒ぶる彼の手を握って、落ち着かせるように語りかけました。


「グイードさん、世の中には首を突っ込んではいけないこともあります、今日のことは忘れましょう」


「で、でも!」


「ほら、戻りますよ」


私は少し冷たく言い放ち、歩き始めるとグイードさんが小走りで私の元へ来て、横に並び一緒に宿屋へと向かったのでした。






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