旅の小話 世話好き達

「んー、この裏にあるかもしれん…」

「あーそうだな」

「マチちゃん肉食うかい」

「俺もあっちの方を見てみるよ」


そう言い一人のドワーフが通路の石畳をめくった、それを見て他のドワーフ達も次々と石畳をめくり始め、辺りは剥がされた石畳だらけになっていました。


「あの…多分、裏にはないと思います…」


「ん?そうか、みんな!裏にはないってよ!」

「なんだここにはないのか」

「肉はいらんのか」

「そうか、じゃあ戻そう」


エルフが少し控えめに一人のドワーフに伝えると、そのドワーフは周りのみんなに声を掛けました、すると彼らはあっと今に石畳を戻し、今度は街路樹を抜き始めました。


「この辺りの草に埋もれているかもしれん、ここらの枝を抜こう」

「そうだなここら一帯抜こう」

「じゃあパンならどうだ」

「俺はあっちを探してみるよ」


そう言って彼らは道の街路樹をまるで野菜を収穫するかのように抜き始めました。するとエルフは焦って彼らを止めました。


「待ってください!草の中には入ってないので!やめてください!」


エルフが彼らにそう叫ぶと、ドワーフ達は街路樹と草を地面に戻し始めます。


「みんなー!草には近づいてないってよ!」

「なんだそうだったのか」

「マチちゃん林檎もあるよ」

「じゃあ俺はこっちを戻すぞ」


みんなでわらわらと作業をしている時、一人の荷物を抱えたドワーフがエルフに近づきました。


「マチちゃん、これ俺の店の商品だ、財布が見つかるかわかんねぇけど、これで元気だしな」


「あ、ありがとうございます」


彼が渡した荷物んの中にはたくさんの干物が入っていました。


「こんなにたくさんいいんですか?」


「おうよ、うめえから元気でるぞ!」


すると周りのドワーフ達がエルフを囲みました。


「なんだおめえ、いい顔しやがって!ほら俺のところの干し肉も持ってけ!」

「うちのポーションも!」

「作りたてのパンだ!これも食え!」

「今朝とれたての卵を!」


「えっえっ」


そしてあっという間にエルフの腕には山盛りの荷物が抱かれていました。


「よし、ここらの家と店も探すぞ」

「わかった俺はあっちに行ってくる」

「卵はな茹でても美味いんだぞ」

「おい婆さん!財布見なかったか!」


「はあ、いい人達なんですが、嵐のようです…」


その後事件は無事解決し、その夜はエルフが昼間にドワーフから貰った食べ物で彼らと宴をしたので。


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