第20話 美少女で変態は至高
――絆創膏事件から数日が経った。
今日はティベリアとして学校に通い始めてから最初の金曜日。
透花から話があると言われた俺は、放課後の教室で一人、クラス委員の仕事に出ている透花の帰りを待っていた。
「ごめんね、待たせて。わたしがお願いしたのに」
しばらくすると息を切らせた透花が戻って来る。
俺を待たせないように急いでくれたのだろう。火照った胸元を右手でパタパタ仰ぐ仕草が妙に
「べ、別に大して待ってないし。む、むしろ透花を待ってる時間も楽しいというか……」
「待ってるのが楽しいって、ティアちゃんドM? 放置プレイ好き?」
「何でそうなるの!? ちょっと良いこと言ったのに全部台無しだよ!」
「あはは、冗談だってー」
俺の反応にお腹を抱えて笑う透花。
そしてひとしきり笑って満足したのか、ちょっと待ってて、と自分の席に掛かった鞄から紙袋のようなもの取り出す。
「ティアちゃん……これ、この前のお詫びなんだけど……」
ほんのり頬を朱に染めた透花が、何やら可愛らしいショップバックを手渡してくる。
「お詫びって?」
何のことだろうか、心当たりが無い。
「更衣室でわたしが倒れたとき、保健室に運んでくれたでしょ?」
「ああ、そのことか。あれくらい気にしなくていいのに」
いやまぁ透花が俺のパンツに興奮して鼻血を大噴火したのはさすがに仰天したけど。
でも、わざわざお詫びだなんて……本当に透花はいい子で、天使で、女神だなぁ。
「あ、開けていい?」
お詫びとはいえ、透花からの初めてのプレゼントだ。嬉しくないわけがない。
ニヤニヤが止まらない。
しかも、わざわざ誰もいない放課後の教室を選んで赤くなっちゃって。
「何かな~楽しみだな~、ふへへ」
天使的かつ女神感たっぷりの透花のことだからな、ぬいぐるみとか、手作りのお菓子とか……もしかして、もしかすると一足飛びで婚姻届けとか?
うへへ、だったらどうしよう。困っちゃうな、全然困らないけど。
ドキドキしながら震える指で袋を開ける。
すると、中から出てきたのは――生地の面積が極端に少ない、真っ赤なブラジャーとパンツだった。
「と……透花さん? こ、これは一体何かな……?」
待て待て、いやいや下着ってのはきっと見間違いだ。さすがにこんなヒモみたいな下着は無いだろう。
これはあれだ、えっと……可愛いヒモ……かな? 髪結んだりするやつ。
「何って、ティアちゃんの下着に決まってるじゃない!」
「やっぱり下着だったァァァァ!」
コレが下着って……下着概念
「ティアちゃんのパンツ、わたしが鼻血で駄目にしちゃったでしょ? それにブラジャーも持ってないって言ってたから。だから似合いそうなのを私が見繕ってみたんだぞ♪」
「いやいやいや、これほとんど生地無いよ!? 胸のところ、あやとりみたいになってるし! お尻なんてパッカリ開いちゃってるし!」
これじゃ、前も後ろもパンツ脱がないでトイレできちゃうよ!?
「きっと似合うと思うの。今なら二人きりだし、今ここで着てくれてもイイのよ?」
淑女のようにもじもじ身体をくねらせながら、痴女のように変態的要求をしてくる透花。
「ここ教室だよっ!? 着る方も要求する方もどっちもド変態だよ!」
「美少女なのに変態って……何それ最高。至高の存在だわ」
「透花が何言ってるのか分からないよぉぉぉ!」
真面目な顔で変態を語るのは止めてくれ!
「――確かにこのデザインでは普段使いは難しいですよね……」
と、さも当然のように、ぬうっと横から登場する白姫。
「うおぁ、
「何でフルネーム呼びなんですか?」
ビックリしたからだよ。
ビックリし過ぎて、うおぁ、なんて男みたいな声出しちゃったよ……って俺は男だよ!
「それにしてもさすが透花さんですね。このエッチな下着……じゃなくて淫らなヒモ、きっとティアさんに似合いますよ」
「でしょでしょ」
「何でエッチな下着から、わざわざ淫らなヒモに言い直したんですかね? 後者の方が悪化してますよね?」
訂正する意味が分からん。
「でも、やはり普段身に付けるものは、もう少し簡素なデザインの方が良いのでは? もちろんこちらのヒモは、真夜中の女体あやとりで使えますから、大事に取って置くとして――」
「真夜中の女体あやとりって何!?」
響きからして、ロクなものじゃないことだけは分かるけれども!
「そうですね。でしたら、丁度明日はお休みですし、ティアさんの下着を買いに行く、というのはいかがでしょう?」
「それ採用」
ビシッと白雪を指差す透花。
こいつら人の話全然聞いてねえし……。
「って、ちょっと待って、今なんて言った?」
明日、透花と一緒に? 下着を買いに行くって言わなかったか?
うそ……まじで? まさか、もしかして……。
今の一瞬で、俺と透花のショッピングデートが決まったってのかぁぁぁ!?
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