第3話 放課後デート? 【1】

 最後の授業の終わりを告げ放課後の始まりを告げるチャイムが鳴り。俺はやっと目を覚ました。

 六時間目の数学の授業を丸々寝過ごしてしまった。

 確か、先生が今日の範囲は今度の中間テストの大部分の範囲らしい。黒板を見るとびっしりと一面に問題が書かれている。

 おそらく、練習問題を解いていたところだったのだろう。公式やポイントらしき分はどこにも書かれていない。


 こりゃまずいな、寝てたから全くわかんねえ。しょうがないから、家で教科書でも読んで勉強するしかない。


 などとそんなことを考えると、つゆりが声を掛けてきた。


「おはよ。目覚めた? 早速駅前のカフェ行くよ」


「おう、行くかー」


 そう返事し、一通りの教科書やノートなどを全部机の中に入れて、ほとんど空っぽのカバンを背負い立ち上がる。

 そうして教室を軽く見渡すとほとんど人がいなくなってた。


「もう、まがり起きたと思ったらぼーっとしてるし、声かけるの恥ずかしかったからみんながいなくなるまで待ってたら十分もかかっちゃったじゃん」


「うそ? 俺そんなにぼーっとしてた?」


「うんしてた。」

 と少し怒り気味につゆりは言う。


 どうやら、寝ぼけながら考え事をしていたようだ。


「だから、カフェ代はおごりね?」


「えーやだよ。俺のおごりだとつゆり高いのいっぱい頼みそうじゃん」


「じゃあもういいです」

 と少しほっぺを膨らましてすねる。


「別に奢らないとは言ってないだろ? しゃーねーな今回は奢ってやるよ」


「やったー。奢りだ奢りだー」

 と両手を広げてはしゃぐ。


 そんな感じで道中、少しはしゃぎながら、駅前のカフェまでついた。

 お店の前にはほかにも試食会に来たと思われる人たちが並んでいた。


「結構人多いな」


「確か二十組招待だったからね」


 二十かあ

「へえー、なんかやけに男女のペア多くないか?」


「き、気のせいじゃない?」

 そう、目をそらしながら、顔を赤くするつゆり。


 これは、絶対何かあるな、まあいずれわかりそうだから今は深堀しないでおこう。


「うーん確かに気のせいかも」

 ここはいっちょ話に乗ってやるか。


「そうだよそうだよ」

 つゆりはお人好しで、その性格からか、嘘をつくのが下手である。

 目が不自然に泳いだり、少し焦ったりするのだ。

 でも、今までけして、悪い嘘だけはついたことがないため今回も別に悪いことは何も無いのだろう。


 そんなこんなで五分ぐらい並んだあたりで、店の準備が整ったのか列が動き始める。

 以外にも列はスムーズに進み店の入り口で店員さんが何やら紙のような何かを一組ずつ配っていたのだがいよいよ俺たちの番が回ってきた。


「いらっしゃいませ。本日は、新作パフェの試食会に応募いただきありがとうございます。」


 な、なんだと?! いいいい、今カップル限定っていったか? 俺は思わずつゆりのほうを見ると、顔を赤く染めてこちらを見ていたため、俺もそれにつられて、顔を赤く染める。


「では、こちらの番号のお席にお座りください」

 といい、一枚の紙を受け取り俺は、赤くなっている顔を隠すかのように少し下を向きながら

「ありがとうございます」

 と答える。

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