日本衰退国史 平成編 第十一章 平成11年

1999年はそれでも日本の技術力の意地を見せた年である。いわゆるカメラ付きケータイ、DVDプレイヤー、そしてiモードである。しかしこれ以後日本製のヒット商品はもう電気製品では出てこない。何度も言うがIT時代において重要なのはソフトなのである。ソフトはハードの付属品ではない。そんなことも分かってなかった。このうちDVD規格は1994年に完成したものであるからバブル時代の遺産とも言ってよい。その遺産もとうとう尽きる時が来たのである。


東邦生命が経営破綻した。いよいよ銀行だけでなく生保や損保にも及び始めた。


NTT地獄のリストラが始まった。NTTは東西分割され長距離電話はNTTコミュニケーションズとなった。超氷河期世代を事実上の公営企業に収めるどころか今だけ・金だけ・自分だけに邁進するのである。NTT職員は通信と全く無縁の仕事に就かされ、不適応になり辞めていった者も多い。


2ちゃんねるが始まった。居場所を無くした日本人はバーチャルの世界に逃げ込みネットだけでビッグマウスを吐くという社会病理は1999年に完成したものである。本当にこの国は進歩してない。そしてネット右翼が誕生した。


JCO臨界事故も発生した。バケツで放射性物質を運びコスパと称して安全性を度外視していた。この事件1件だけでもこの国で原子力を扱う資格などない。もんじゅのナトリウム漏れ事故もしかりである。しかし「技術大国」の幻想に浸った我が国は3.11の道に邁進し、破滅するのである。


幸いにしてY2K問題は起きなかった。本当に不幸中の幸いであった。


音楽を見て行こう。


1999年の音楽


1位 速水けんたろう、茂森あゆみ、ひまわりキッズ、だんご合唱団:「だんご3兄弟」

2位 GLAY:「Winter,again」

3位 浜崎あゆみ:「A」

4位 坂本龍一:「ウラBTTB」

5位 宇多田ヒカル:「Automatic/time will tell(12cm)」

6位 宇多田ヒカル:「Addicted To You」

7位 モーニング娘。:「LOVEマシーン」

8位 GLAY:「BE WITH YOU」

9位 L'Arc~en~Ciel:「HEAVEN'S DRIVE」

10位 KinKi Kids:「フラワー」


もう人々は失われた10年で疲れていた。あのリゲインのCM曲が「24時間闘えますか」から「ウラBTTB」になっていた。小室系が大きく衰退している。同時に音楽市場も大きく衰退していた。「LOVEマシーン」に至ってはやけくそである。「日本の未来は世界が羨む」?本気でそう思っていたのか?あきらかに「ええじゃないか」と踊っていたのである。

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