日本衰退国史 平成編 第十章 平成10年
1998年と言う時代はもう日本の引き際を真剣に考えていた。かの武村氏が提唱していた「小さくても光る国」を目指すべきだと。また美しい衰退を目指した英国に学ぶべきだとも。つまりこのころの日本はまだ謙虚さがあったのである。1998年と言うまだ巨大な経済力を持ってる時代の方が現実的な思考を持ち原発が爆発し、もう先進国脱落寸前の日本の時代で「日本スゴイ」を連呼したという史実が興味深い。
長銀の破綻と日債銀の破綻、そして全都市銀行の破綻は強制合併に導くこととなった。前年大蔵省はノーパンしゃぶしゃぶ事件という失態をおこなったせいでなんと大蔵省解体という結果になった。もう日本は機能不全となっていた。ニュースでは不良債権をどうしようの連呼であった。
橋下は当然引責辞任し小渕が引き継いだ。野菜の株を持ち上げて「株あがれ~」などと悲痛な声を出していた。
1998年で唯一明るい話題だったのは長野オリンピックである。またしてもパンとサーカスである。そしてこのオリンピックのツケは大きく長野県庁を破産寸前に追い込むのである。
我々令和に生きてる人間は知ってる。こんな地獄などまだ序の口であることを。
モラルはあちこちで崩壊し、刹那的に人々は生き、未来に何も展望が描くなっていた。東日本大震災の時やリーマンショックの時やコロナ禍の時と何が違うのか。そう、我々はちっとも進歩してないのである。
自殺者がいきなり8000人も増えて年間3万人も自殺するようになった。経済苦である。
1998年は日本の音楽産業にとって金字塔で以後二度と音楽市場が回復することはない。オグバーンは文化遅滞説を言っており経済発展のピークの10年後に文化的ピークが来ることを予言していた。日本の経済的ピークは1989年、日本の文化的ピークは1998年である。どうだろうか?ほぼ一致しないであろうか?
1998年オリコンヒットチャート
1位 GLAY:「誘惑」
2位 SMAP:「夜空ノムコウ」
3位 SPEED:「my graduation」
4位 BLACK BISCUITS:「タイミング 〜Timing〜」
5位 GLAY:「SOUL LOVE」
6位 Kiroro:「長い間」
7位 L'Arc〜en〜Ciel:「HONEY」
8位 KinKi Kids:「愛されるより 愛したい」
9位 Every Little Thing:「Time goes by」
10位 KinKi Kids:「全部だきしめて/青の時代」
11位 hide with Spread Beaver:「ピンク スパイダー」
12位 J-FRIENDS:「明日が聴こえる/Children's Holiday」
13位 SPEED:「ALL MY TRUE LOVE」
14位 L'Arc〜en〜Ciel:「花葬」
15位 L'Arc〜en〜Ciel:「snow drop」
16位 SPEED:「ALIVE」
17位 B'z:「HOME」
18位 KinKi Kids:「ジェットコースター・ロマンス」
19位 Mr.Children:「終わりなき旅」
20位 L'Arc〜en〜Ciel:「浸食 〜lose control〜」
日本音楽市場最高の年はやや退廃的な曲が多くやはり若者は日本の「死」を見つめていた。「花葬」、「浸食 〜lose control〜」は特にそうである。
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