第112話 4/4

 その後、なぜかカミ達3人とスマ○ラをして過ごした。


「あ、ダメ……っ!! 変なとこ攻めないでよー!」


「あ、ノがみ! 変な声出すなって!」


「小宮が言っておった『夜な夜な聞こえる変な声』ってこれじゃったのか……」


「ゲーム中うるさいのはカノガミと同じね……」


「ウチのどこがうるさいのじゃみーちゃん!!」


「それよそれ。うるさいじゃない」


「なんじゃとぉ!?」


「待て待て待て2人とも喧嘩するなって!」


「カノガミ〜! ドン○ーで自爆するのやめてよ〜!!」


「母上が下手なのが悪いのじゃ! ウチのせいにするのはやめておくれ!」


「あ? お前今何つった?」


「ヒィィィィ!? ジュン〜! 母上がイジメるのじゃあ〜」


「ちょっと! 何お兄ちゃんに擦り寄ってるのよ! アンタはいつも一緒にいるからいいでしょ!」


「みーちゃんはもっと奥ゆかしくするべきじゃないかの? この前まではそんな風じゃ無かったじゃろ」


「う、うるさいわね!」


「ね、準? この2人置いてどっか遊びに行こうよ♡」


「母上が娘の物を横取りして良いのかの!?」


「そうよ! お母様ならもっと娘の幸せを考えなさい!」


「はぁ〜? 2人ともちょっと調子乗ってんじゃないのぉ?」


「……」


 くそおぉぉ。いつもの3倍どころか10倍くらい大変なんだが?



 誰か助けてくれえぇぇぇ……。



◇◇◇


 放っておくと喧嘩を始める3人をなんとか取り持ち、なだめながらゲームをするという地獄のような2時間を過ごし、やっと彼ノがみが帰る素振りを見せた。


「さーて。そろそろ11月の準と遊ぶかなぁ〜。向こうの準も寂しがってるかもしれないし♡」


「母上。聞きそびれておったが、なぜ8月に来たのじゃ? わざわざ来たということはウチらに用があったのじゃろ?」


「あ、そうだった。2人とも手、出してー♡」



「「手?」」



 カノガミとみーちゃんが手を出すと、彼ノがみが2人の手を取った。



「何じゃ?」

「何するの?」



 そして、2



「ちょっ!? 何するのじゃ!?」

「触っちゃったら私達……!?」



 融合して……!? ってあれ?



 何も起きない。



「触れられる……のじゃ」

「本当……」



 カノガミがみーちゃんの手を何度も握りしめた。



「ちょっとやめてよ」

「あ、つい。にぎにぎしてしまったのじゃ」



「どういうことだよ?」


「いや、せっかく姉妹なんだからさー触れられるようにしてあげようと思って♡ 2人とも長い人生? になりそうだしー」


「でもそれだと彼ノがみが……」


「だいじょーぶ。ちゃんと2人が『彼ノがみになりたい』って思いながら触れれば私になれるから」


 そっか。彼ノがみのヤツ、なんだかんだで2人のこと心配だったんだな。



「それならさ。ず〜〜〜っと先の未来でも寂しくない! 姉妹で支え合える。でしょ?」



「姉妹で……」

「支え合える……」



 手を取り合ったカノガミとみーちゃんが呟いた。



 ずっと先の未来。俺達がみんないなくなった後も、2人は一緒にいられる……か。



 ……。



 いいお母さんじゃん。彼ノがみのヤツ。



 2人がモジモジしながら何かを言おうとした。



「そ、その……母上?」

「お母様……」



「なんだね? 我が娘達」



 彼ノがみは、キリッとした顔で2人を見つめる。



「「あ、ありが……」」



「いいのいいの〜代わりにから! 2人は仲良く余生を過ごしてね♡」



「「……はぁ?」」



「何言ってんだよお前!?」


「いいジャーン! お子ちゃまと年増の娘達はさ、ほっといて私達でイチャイチャしようよ〜。そうだ! この8月の準だけ連れ去っちゃえないかな? 時間の狭間なら他の準に影響無いよね?」


「え!? 怖いこと言うのやめろよ!」


「いいじゃんいいじゃん〜。時間の狭間で永遠にカミと愛し合えるなんて♡ そんな経験できる人間いないよ〜。レアだよ〜?」


「そんなレアケース嬉しくねえええぇぇぇ!? 2人とも助けてええぇぇ!?」


「無駄だよー。2人じゃ私に勝てないもーん♡」



「……」

「……」



「お、おい……カノガミ? みーちゃん?」



「「はっ!!!」」



 2人が指先を合わせた。



 部屋が光に包まれる。



「パンパカパーン! 彼ノがみ様だよ♡……ってなんか呼ぶの早くない?」



 光の中からが現れた。



「え……え!? 彼ノがみが2人!?」



「は? アンタ誰? 何準とイチャイチャしてんの?」


 夏服彼ノがみが冬服彼ノがみを睨み付ける。


「タンマタンマ! 私だって私! 私も彼ノがみだよ!?」


「はぁ? 彼ノがみが2人もいるわけねぇだろ!! 何私に化けてんだよ!」


 夏服彼ノがみのヤツ、冬服彼ノがみに敵意剥き出しだな……。


 多分、2の影響だよな……。


「……あぁ? ちょ〜っとムカついたんですけど? なんで時のカミの私が疑われなきゃいけないんですかねぇ?」



 マズイぞ。マズイ。これはマズすぎる。なんで冬服彼ノがみもキレ出すんだよ!



「うっわ最悪。姿だけじゃなくて肩書きまでパクる気? 存在ごと消すぞお前?」


「は? やってみろ」



「お、お前ら2人とも落ち着いて。な?」



「準はコイツの肩持つの?」

「準は私の味方だよね?」



 2人の彼ノがみが俺を見つめる。



 ……。



「誰かああああああああああああ!!」



◇◇◇


 その後、小宮に泣きついてなんとか2人の彼ノがみに説明して貰った。



 11月の俺……。



 今度は止めてくれ。



 あ。




 それって、か。




 止められるかな……。

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