第110話 2/4
プリプリするカノガミをなだめつつ、駄菓子屋で過ごしていると入り口から小宮が顔を覗かせた。
「お、ソトッち。やっぱりここにいたねぇ♪」
「なんだよ? 今月の駄菓子パスは使い切ったって言ってたじゃん。どうしたんだ?」
「失敬だねキミ! パスが無くてもちゃーんと買い物するよ。それよりねぇ……今日はスペシャルゲストを連れて来たのです♪」
「スペシャルゲスト?」
「誰じゃ?」
「私の知ってる人?」
「みーんな知ってるこの方でーす♪」
小宮が大袈裟に手を突き出した。そこから飛び出したのは……。
俺と同い年くらいの女の子だった。
……ん?
え!?
なんで!?
「パンパカパーン♪」
「
あ、彼ノがみ!?
「な、なんで彼ノがみが!?」
「は!? なんでじゃ!?」
「う、嘘……?」
「おうおうみんな驚いてるねぇ〜! 私もアミちゃんと会った時はビックリしたもん!」
「会いたかったよ〜準〜♡」
彼ノがみが急に抱きつこうと駆け寄って来た。
「は!? オヌシ何をする気じゃ!」
カノガミが間に割って入る。しかし、そんなこと気にも留めないように彼ノがみはぐいぐい近づいて来た。
「いいじゃ〜ん♡ この準とは数ヶ月ぶりの再会だしぃ」
「数ヶ月ぶり? 何言ってんだお前……?」
コイツと別れたのはつい最近だろ?
「準。よーく見て? 私、何か違う所無い?」
え? 何が違うって……。
よく彼ノがみを眺めてみる。すると、あることに気がついた。
「制服が長袖……冬服だ」
「せいかーい♡」
彼ノがみがスカートの裾を持ってクルリと回る。
「あ、あなた……もしかして未来から来たの!?」
「さすが我が娘みーちゃん! そう。私は11月からやって来た彼ノがみだよ♡」
「11月からじゃと?」
「神帰月だしぃ♡ ちょっと娘達にも会おうかなと思って」
「よ、良くわかんねーんだけど……」
「ソトッちぃ〜アミちゃんは時のカミだよ? 『時を遡ることなんて余裕!』って言ってた♪」
彼ノがみの話を聞くと、力の制限さえ無ければ……つまり、力の源泉である寿命さえあれば彼ノがみ自身が時を遡ったり、未来に移動することもできるらしい。
えぇ……タイムリープ通り越してタイムトラベルしてるじゃん……。
「まだまだあの3つ首竜の寿命ストックあるからねぇ〜。力使い放題なの♡」
「アイツの寿命って2500年だったよな?」
「ウチらはとんでもないことをしてしまったのかもしれん……」
「めちゃくちゃだわ……」
「ねぇ〜とりあえず家帰ろ?」
彼ノがみに言われるがままに俺達は家に帰った。
◇◇◇
「それじゃあアミちゃん。また来月ね♪」
「9月の私にもよろしくね
ややこしい会話を繰り広げながら小宮が自分の家へと帰って行った。
「来月来る彼ノがみはこの彼ノがみとは違うんだよな? ややこしすぎるだろ……」
「一応聞くけど、あなたが時を遡って私達と会うのは初めてなの?」
「2人に会うのは初めてだね。11月の準に会いに行くって話したら顔引き攣ってたけど♡」
11月の俺って今日何が起こるか知ってたってことだよな? な、なんで顔引き攣るんだよ……。
「時に彼ノがみよ。オヌシはどうしてウチらに会いに……」
「あ?」
彼ノがみが急に真顔になった。そして、冷たい口調で話し始めた。
「我が娘カノガミ。ソナタは母である私のことを馴れ馴れしく『
というか口調まで変わってるんだけど……。
「ひっ!?」
鋭い瞳で睨みつけられたカノガミは、光のような速さで正座した。
「私のことはなんと呼ぶのが正しいのか? ソナタの頭でも考えられるであろう? 言ってみよ」
「は、母上……」
「よろしい。今後は私のことを母と呼ぶように。みーよ。ソナタもだぞ?」
「わ、わかったわ……」
「ん?」
彼ノがみが視線を送ると、みーちゃんがビクリと体を震わせた。
「分かりました……お、お母様」
「……と、冗談はさておきぃ〜2人とも私のことはお母さんと呼んでね♡」
「た、タチ悪すぎだろ……」
「ジュン〜」
「お兄ちゃん……」
いつの間にかカノガミとみーちゃんは俺の後ろに隠れていた。
「ウソウソウソ! ウソだって! 2人ともそんなに怯えないでよ〜」
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