第108.5話
--ジュン〜優しくして欲しいのじゃ。
よしよし。紺田の爺ちゃんの駄菓子屋でお前の好きなアイス買ってやるからな。
--本当か!? ま〜秋菜のこと許してやるかの。
カノガミのヤツ……それでいいのか……。
2人で駄菓子屋の前まで来た所で気付いた。向こうから子供が大量に歩いて来る。
なんだあれ? 集団下校か? それにしてもなんだってこんな時間に。
--あ! あの先頭のヤツ、小宮じゃぞ!
本当だ。小宮が1クラス分くらいの小学生を連れて歩いている。そして、駄菓子屋の前で立ち止まった。
「はーい! 1人1個まででーす♪」
「やったぜ!」
「ラッキー!」
「俺はジュースも買っちゃお!」
「私もヨーグ○買っちゃおっと」
--小宮のヤツ、子ども達に奢っておるぞ。
「小宮、何やってんだよ。こんな所で」
「ふっふっふ。塾帰りの子達を餌付けしていたんだ♪」
「餌付けって……」
「ま、見てなよソトッち」
「お〜小宮ちゃん! いつもありがとうな!」
店から紺田のじいちゃんが顔を覗かせた。
「いんやぁ〜いいんですよ♪ その為の駄菓子パスですから」
「助かるなぁ〜。おっとレジをせねば。こりゃ雄太にも手伝わせんとな」
紺田のじいちゃんが再び店の中へ戻っていく。
「あ、お前駄菓子パスで子供に奢ってたのか」
「そうだよ。これこそ情報部の新しい武器なのです♪」
--武器? なんでじゃ?
「お姉ちゃんありがとう」
「ありがとう」
「やったありがとう!」
「ありがとうございます」
店から出て来た子供達が口々に小宮に礼を言っていく。
「いいんだよ〜。みんなも何かウワサとか聞いたら私までお願い! ね?」
子供達が頷いて別れを告げていく。
「我が手先となる少年情報隊なのだよ♪」
「な、なんだか無茶した挙句、敵に捕まりそうな名前だな……」
「何言ってんのぉ? 情報提供して貰うだけだよ?」
「あ、いや、すまん。でも駄菓子パスは1番有益に使うヤツの所に渡ったんだな」
「お店も子供も私もラッキー♪ いいことずくめでしょ?」
小宮はニカっと笑った。
--コヤツは敵に回したくないのぉ。
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