復活のフュージョン!!なのじゃ!

第89話 1/3

「決まっておろう……『フュージョン』じゃ!!!」


「ふゅーじょん?」


 みーちゃんは意味が分からない様子だった。



「そうじゃ! ウチの言う通りの動きをするのじゃぞ!」



 カノガミがみーちゃんに説明を初める。



「ここで……こう……構えるのじゃ」

「え……?」

「そして……この動きで近づくのじゃぞ」

「えぇ?」

「ここは……腰の捻りが……肝心なのじゃ」

「は?」

「指先はずらさず……ピタリと当てるように……」


 一連の動作を説明し終えると、みーちゃんが顔を真っ赤にして怒り出した。


「はぁ!? そんな恥ずかしいことできるわけないじゃない!?」


 みーちゃんのこの反応……カノガミのヤツ、マジかよ。ホントにフュージョンすんの?


 てか、なんで?


「みーちゃん。コレは必要なことなのじゃ! 本気でやるのじゃぞ!」


「絶対必要無いでしょ!!」


「俺も分かんねぇんだけど、何でわざわざ……」


「仕方ないのぉ……」


 カノガミが説明してくれた。なぜフュージョンなのか。



 ……。



「それは……うん。まぁ言ってることは分かるけど……」


「本当? ウソじゃないわよね!?」


「ああ。本当じゃ」



 カノガミが自信満々に頷いた。コイツの自信はどこから湧いてくるんだよ……。



「わ、分かったわよ……それしか方法無いみたいだし……」



 あ、みーちゃんもそれでいいなら……まぁ

いいか。



「ジュン。今回も頼りにしておるぞ」


「あんまり気が乗らねぇけど、任されたよ」



「「「おい! まだか!? いつまで我らを待たせるつもりだ貴様ら!!」」」


 何も言わずに見守っていたイアク・ザードが怒り出す。


「うるさいヤツじゃのぉ〜。こういうのは美学なのじゃ! もうちょっと待っとれ!」



「「「美学……?」」」



 イアク・ザードの頭には、ハテナが浮かんでいた。



「ちと身長差があるのぉ……ジュン。みーちゃんを抱き上げてやるのじゃ」



「え!?」

「え……」



 まさか……俺もあのポーズに巻き込まれるなんて……。


「当たり前じゃろ。ジュンならば手順は既に分かっておるな?」


「わ、わあったよ……」



「よし! 行くのじゃ!!」



 みーちゃんを抱き上げる。みーちゃんは、煙が出るほど顔が真っ赤だった。


「みーちゃん? 大丈夫か?」



「だだだ、大丈夫……よ」



 みーちゃんの様子が明らかにおかしい。



 恥ずかしいんだろうな……。




 なんだか申し訳なかった。





 カノガミは大きく息を吸うと、叫んだ。






「これで終わりだぜ!!! イアク・ザード!!!」






「お、おい! 時間かかりすぎだろ? もうフュージョンから始めてくれよ……」


「え〜!? なんじゃあ……せっかくカッコよく決めようと思ったのにぃ……」


「頼むぜほら、途中攻撃されたらマズイだろ?」


「えぇ……? フュージョン中に攻撃って……そんなことやるヤツおるのか?」


「アイツ美学分からなそうだしさ、ほら」


「まぁ確かにの。分からんじゃろうなぁアイツじゃと。悪の化身みたいな顔をしておる」



 カノガミは納得したように頷いた。



「はぁ……お前らも、どっちかと言うと魔人ブ○だからな……」


「え? お兄ちゃん何か言った?」


 みーちゃんが不思議そうに俺を見上げる。


「い、いや……!? なんでも無いよ」



「では……気を取り直して、いくのじゃ!!」




 カノガミとみーちゃんがマンガで散々見たポーズを取る。



「フューーーー… 」

「ふゅ、ふゅ……」


 ……。


「ジョン!!」

「じょん……」


 カノガミだけ異様にノリノリだな……。


「はっ!!!」

「は、っ……」



 カノガミとみーちゃんの人差し指が触れる。



 すると、目の前が眩いほどの光に包まれた。



「「「な、なんだこの光は……?」」」



 光の中から人影が現れる。



 それは……。




 白水中の制服を着た……。




 14歳の女の子の姿をしていた。



「「「こ、コレが……この世界最高峰の力の持ち主だと言うのか……?」」」


 イアク・ザードが戸惑い、3つの頭が顔を見合わせた。




「パンパカパーン! ノがみ様だよ♡」



 光の中から現れた彼ノがみは、謎の決めポーズを取った。



 あぁ……俺にとって嫌な記憶が蘇る。

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