塵外編。じゃとぉ!?

復讐のエスパー!!なのじゃ!

第71話 1/3

 僕の名前は蝶野有緑ちょうの ありのり。実は僕には隠していた能力があるんだ。


 それが超能力。


 物に触れずに物体を曲げたり戻したりできる。


 しかも、普通の超能力だけじゃない。練習したらエネルギー波みたいな物も出せるようになったんだ。



 でも、僕はもっと凄いヤツに出会った。



 それが、我が永遠のライバル。



 外輪準そとわ じゅん



 アイツは意図も容易く空を飛び、物を浮かせる。



 僕はアイツを見て感動したんだ。



 僕がひた隠しにしていた力を惜しげもなく使う姿にね。



 僕は彼とコンビを組んで人気者になろうとした。


 だけど、アイツはそれを拒み、僕に力を見せつけた。



 そのうえ……。



 女子達の前でとんでもなく恥ずかしい目に合わせてきた。



 それ以来僕は外輪準への復讐の為、山にこもって修行をしている。



 そんな中、と出会ったというわけさ。





「モノローグ調の自分語りはもういいデスか? 私は早く国へ帰りたいのデスが……」


 目の前の女が帰ろうとしていた。それをなんとか引き止める。


 金髪に碧眼、どことなく民族的な服を着た小柄な女性……でも、それだけじゃない。もっと気にしなければいけないことがある。



「ま、待ってくれ! もう一度見せてくれ! 君の……その力を!」


「力? 力ってコレのことデスか?」


 女が人差し指を上に向ける。



 すると……。


 



「やっぱりだ……君も能力者なんだね。超能力だろ?」


 超能力の修行をしていると、この女が何かを探しているのを見かけた。


 その時見たんだ……この女がデカイ岩を浮かせているのを!


「なんだ。扱える者は少ないのデスね。この国の人は」


 金髪女が不思議そうに言った。


「いや、使える人の方が少ないと思うけど……と、とにかく! その力の使い方を僕に教えてくれないか!?」


 金髪女が腕を組んで何かを考える……。


「うぅん。でもデスねぇ……流石に長期間この国に滞在するのはマズイのデスが」


「た、たのむ! 教えてくれたらなんでもやるから。僕にできることなら」


 女は唸りながら考え込んだあと、呟くように言った。


「……まぁ。それも、デスかね。どうせ……」


 ん? 女が何かゴニョゴニョ言ってるけど、良く聞き取れなかった。


「いいデスよ。やるからには私の全てを伝授してあげマス」


「ありがとう!」


 やった! やったぞ!! これで僕は更なる高みに登ることができる。



 待っていろよ外輪準。



 絶対にお前に復讐してやる!



「ところでお前、名前はなんと言いマスか?」



 なんだよ。モノローグ聞いてなかったのか?



蝶野有緑ちょうのありのりだ」


「チヨョ・ウノア・ララィンララィ? 呼びにくい名前デスね」


 女は舌が回らないようだった。海外の人だし古風な名前は難しいのかもな。良く聞くと、所々イントネーションも変だ。この国に来てまだ日が浅いのかな?


「あなたの名前も教えてくれ」


「ワタシは&#&@&&#&デス」


「は?」


「だから&#&@&&#&デス」



 全然聞き取れない。



 というか……。



「どういう発音なんだよ! 理解できても話せる気がしやしないよ!」


「お前の名前だって言いにくいデスよ!」


 女が怒る。


 ちょっと失礼だったかな? でもコイツだって僕の名前を言えなかった訳だしおあいこじゃないか。


 女は何度か僕の名前を言おうとして、ついに諦めたようだった。


「よし、じゃあこうしマショウ。お前の事は『弟子』と呼びマス。お前は私の事を『師匠』と呼ぶのデス」


「弟子とか師匠って言葉は知ってるんだね」


「ん〜。なんでデスかね? 私の国独自の言葉だけ上手く翻訳できないみたいデス」


 ん? 翻訳ってなんだ?


「まぁいいデス。の気配も感じないし、早速修行に取り掛かりマスよ!」


「ありがとう師匠!!」



 師匠。いい響きじゃないか。



 ……。



 修行してる感も出るし。



「し、師匠……中々良い気分デスね。残す物があるというのも」


 師匠が顔を赤くする。



 それから僕と師匠の数ヶ月に及ぶ修行の日々が始まった。

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