第58.5話

「すげぇ! 秋菜とみーちゃんで辻斬り猫を捕まえるなんて!」


「そ、そうよ。当然のことよ」


--ん? みーちゃん? なんか様子が変じゃのぉ〜。


「そ、それはちょっと説明するまで時間を頂戴……。あの、説明するのに勇気がいるの」


「言いたくないことならみーちゃんが話せるようになったらでいいよ。カノガミなんてさ〜目玉焼き食いながら大泣きして……」


--ジュン!! やめるのじゃ!!


「あ、ああ……そっか。すまん」


--男ってホントデリカシー無いのじゃ! ふんっ!!


「お、怒るなって〜」


「カノガミが……『男って』とか、『デリカシー』とか言うなんて……成長したわね……」


--なんじゃみーちゃん? ウチのことバカにしとるのかの?


「いえ、そんなつもりは……」


「ところで、なんで俺たちを武士研に呼んだの?」


「ああ。そうだった。それがね……あの猫の処遇なんだけど……」


「あ〜外輪先輩とみーちゃん! よくいらっしゃいました!」


「お、直江! 元気そうじゃん!」


--なんじゃ! ウチは無視か!


「お前は可視化してねぇだろ……」


--そ、そうじゃった! 大人しくしてよ……。


「いや〜みーちゃんのおかげで武士道研究会に顧問が来てくれるなんて! しかも本当の武士! みんなすっごく喜んでますよ!」


「え?」


「猫田先生! みーちゃん達がいらっしゃいましたよ!」


「おぉ! ありがとう殿! 拙者の就職先を紹介してくれて!」


「先生!」

「猫田先生!」

「先生! 早速武士道についてご教授を!」


「直江……部員達……泣きながら喜んでるぞ……」


「はい! 苦節数ヶ月……。やっと僕らは本物の武士道に出会えることができたのです……こらからは日本男児として猫田先生のご指導の元、さらなる高みを目指して」


「ストップストップ! ちょっと長くなりそうだから、それはまた今度」


「そうですか? 猫田先生はキャットフードだけで色々教えてくれるので本当に助かりますよ。部費の使い道がやっとできました!」


「あ、部費の使い道無かったんだ……」


「そういやみーちゃん。ヒトキリ丸は取り返したの?」


「あぁ……それがね……」


「猫田! 今日こそ我が家の家宝、ヒトキリ丸を返しなさい!」


「ほ、方内先輩!?」


「嫌でござる! ヒトキリ丸も拙者の方が良いと言ってるでござる!!」


「包丁が言うわけ無いでしょ!」


「む、包丁では無いでござる! 刀でござる!!」


「そう……ならいいわ。それじゃあレンタル料代わりにテレビに出なさい。私がマネージャーとしてしっかり稼ぎの管理してあげるから」


--相変わらずクズじゃなぁ〜。


「嫌でござる〜」


「待て!! じゃあ返せ!!」


「あぁ!? 先生!! まだ今日の部活動してないですよ〜」


「先生!?」

「猫田先生!!」

「待って下さい先生!!」


「……」

「……」


「……みんな行っちまったな」

「ええ」


--ジュン〜。さっきのこと許してやるから部室戻って茶を入れてくれんかの?

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