伝説の包丁を取り戻せ!なのじゃ!
第47話 1/4
部室に入ろうとしたら扉の前に女子が立っていた。
--コヤツ見たことあるのぉ……
「あれ? 料理部副部長の……」
--あ! そうじゃ
「外輪君。ちょっと情報部にお願いがあって……」
方内先輩を連れて部室に入る。中では小宮と犬山が新聞発行の作業をしていた。
来客用の湯呑みにお茶を入れ、会議用のテーブルに座ってもらう。
お茶をひと口飲んだ後、方内先輩は情報部を訪ねた目的を話し始めた。
「実は、伝説の包丁を取り戻す手伝いをお願いしたいの」
「え? 伝説!?」
小宮の目が輝きを放つ。
「我が家の家宝、伝説の包丁『ヒトキリ丸』が奪われてしまったのよ」
「ひ、人斬り丸……? なんかとんでもなく恐ろしい名前の包丁だなぁ」
--まるで妖刀じゃの〜。
「違うわ。『ヒト(振りでなんでも)キリ(きざむ)丸。通称ヒトキリ丸よ」
「名前がややこしすぎる!?」
--ラセンリープも似たようなもんじゃろ!
う、それは……。
「どうしてそんな大切な物を奪われたんだ?」
今まで黙って聞いていた犬山が口を開いた。
「ある寺お抱えの料理人とウチの父が料理勝負をすることになってね……惨敗したの。それでヒトキリ丸を奪われてしまった」
「なぜ料理勝負を?」
「いや、父がね……ギャンブルで住職に多額の借金をしていて、料理勝負に勝てたらチャラにしてやるって」
「それって温情だよね!? 奪われたって人聞き悪すぎません!?」
--むしろ住職が優しいくらいじゃないかの?
「許せないわ……あのハ○ジジイ!! 今度は私が挑んで絶対にヒトキリ丸を取り戻してみせる!! ついでに借金もチャラにしてやるわ!!」
「方内先輩クズすぎません!?」
「それで、俺達は何を手伝えばいいんだろうか?」
「私のアシスタントをやって欲しいの! 料理部のみんなはなぜか事情説明しても協力してくれないのよねぇ。部長の
--当たり前じゃ!!
「とは言ってもなぁ〜。どうする小宮?」
「うーむ」
小宮が目を閉じて思案する。
頼むぞ小宮……! 手伝うのはなんだか住職に申し訳ないぞ……。
「よし! 手伝おう!」
「やるんかーーい!?」
「や、やるのか……!?」
--やるんかの!?
「なんでー? 伝説の包丁見てみたいじゃーん。犬山くん、ソトッち、カノちゃん。お手伝いよろしく〜。あ、取り返したら私にも見せてね♪」
◇◇◇
「ほっほっほ。それで料理勝負のリベンジマッチをしたいのかい?」
「ええ。あなたのような守銭奴に我が家の家宝を持たせておく訳にはいかないわ」
「言い方ぁ!? 方内先輩! どちらかと言うと先輩の方が守銭奴ですよ!?」
「いやぁいいんじゃよ。方内さんにはいつもお世話になっておるからのう」
住職のおじいさんは人の良さそうな微笑みを浮かべた。
--なんじゃ!? ややこしい話し方するジジイじゃのぉ!! ウチと被るじゃろ!!
因縁つけるヤンキーかお前は!?
「それで料理勝負はどうする? 前回と同じ方法にするのかのぉ」
「それでいいですけど、ちゃんとした判定人を用意したいです。あと、料理はこちらで指定させて下さい」
「分かった分かった。なら判定役はあの人に頼んでおこう」
「あぁ……あの人なら安心ですね」
「先輩。あの人って誰ですか?」
「来れば分かるわ。何しろ目立つ人だから。私達は料理のことだけに集中しよう」
そう言うと、方内先輩は犬山に何かを耳打ちした。
「すまん外輪。俺は急にやることができた。手伝いは外輪とカノガミさんでやってくれ」
「え!? マジ!?」
--マジか!?
「ああ。頼む」
カノガミ。もう可視化慣れた?
--た、多分大丈夫じゃ。皆に見えるよう可視化してみる。
「それじゃあ時間は今日の18時。場所はお寺の境内でお願いね」
こうして、方内先輩のアシスタントは俺とカノガミの2人で担当することになった。
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