天井裏の怪!なのじゃ!
第45話 1/2
放課後。
--ジュン。茶を入れて欲しいのじゃが。
部員のみんなに見えるようになって以降、カノガミは自宅と同じように部室でもくつろぐようになった。
「へいへい。来客用の湯呑みは……」
--そのカエル柄の湯呑みが良いであります!
「これは夏樹のだからダメ」
--ええ〜!? じゃ、オタマジャクシでいいのですぅ!
「それは秋菜ちゃんの」
--なんじゃ! お揃いにしおってアイツら! そもそも秋菜は部員じゃないじゃろ!!
「最近良く来るからなぁ秋菜ちゃん」
急須で来客用湯呑みにお茶を入れる。
--はぁ……ウチのは無地か……。
「またカノガミのも買ってやるから」
そんなやり取りをしていたら、部室の扉が開いた。
「やっほーソトッち。カノちゃんもいるの?」
--か、カノちゃん……?
「カノガミ? いるぞ。基本学校では見えないようにしてるんだと。この前危うく通報されるところだったからさ」
--まだ可視化は上手くコントロールできんのじゃ。
「見えないと声も聞こえないんだねぇ〜」
--姿と連動しておるぞ。
「姿見せるのと連動してるらしいぞ」
「そっか。まぁでも、もうすぐお客さん来るからそのままの方がいいかも」
「客? 誰が来るんだ?」
「1年生の子だよ♪」
しばらくすると扉がノックされて気の弱そうな男子が入ってきた。
「こ、こんにちは。1年の
随分小柄な子だなぁ。
「情報部ってなんでも調べてくれるんですよね?」
「なんでも……ていうのはちょっと違うけど、学校新聞の記事にできそうなら大丈夫だよ♪」
「小宮の場合それはなんでもだろ」
--この前は理科の加藤先生の弁当を記事にしとったのぉ〜。弁当が全部ブロッコリーだけとはウチも想像できんかったぞ。白飯すら無かったしの。さすが理科教師じゃ!
それは、奥さんと喧嘩したからだって!
「あ、あのですね……僕らの部室なんですけど……先週くらいからかな? 天井から音がするんです」
「天井から音……? それってネズミかなんかいるのか?」
「あの……それを調べて欲しいんです」
「自分達で見ればいいじゃん」
「そ、それができたら苦労しません! 部員はみんな潔癖症ですし……モギオ君の事件もありましたし……」
……あ〜。
「まぁ〜ソトッちさ、そこはもしかしたら霊的な話もあるかもしれないし、一応、ね?」
「俺たちゃ便利屋かよ」
--な〜んか気乗りせんのぉ〜。
カノガミが湯呑みを手に取りお茶を飲んだ。
「ひっ!? そこ!? 湯呑みが浮いてる!?」
直江が心底怯えた様子で空中の湯呑みを指した。
--あ、やっちまったのじゃ。
「ああああああ!? 直江の部室の件気になるなぁ!? 調査に行くぞ小宮!!」
「オッケー♪」
誤魔化すように部室を出た。
◇◇◇
「ここが僕らの部室です」
「そういや直江の部活って何なんだ?」
「武士道研究会です」
「は?」
--剣道部とかじゃないんかの?
「武士道研究会って何するの〜?」
小宮が質問すると、直江は残念そうな顔をした。
「あぁ……情報部部長の小宮先輩に知られてないってことは、誰も知らないですよね……僕達のことなんて……」
「そ、そんな落ち込むなって。まだできたばっかりなんだろ?」
「はい。今月やっと部員が揃って同好会から部活に昇格しました」
「おぉ!良かったじゃん! それで活動内容って……」
「僕達、武士道研究会は今日の日本における1つの思想追及として武士道を学んでおります! そもそも昨今の日本男児というものは急激に武士道を失いつつありまして、本当に嘆かわしいばかりです。そんな中僕らは」
「ストップストップ! 先に中へ入ろうぜ?」
直江の目、パッキパキじゃん……。武士道への熱量やべぇなおい。
「おっし! たのもー」
小宮が勢い良く扉を開く。
……。
!?
そこには驚くべき光景が広がっていた。
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