第30話 3/3
「舞。気分はどう?」
「みーちゃん……フラフラするけど、何とか大丈夫」
「初めてリープしたし、改変の波の影響もあるからまだ安静にしていた方がいいのに」
--ジュン! 隠れるの2回目じゃぞ!? ベッドの下を覗かれたらおしまいじゃ。早くリープして逃げようぞ!
待ってくれ。ちょっと話が聞きたい。
「だって……学校の他のみんなが消えてないか心配で……」
「大丈夫よ。あの3人以外消して無いわ」
「……」
「舞?」
「な、なんで小宮さん達をリープさせたの?」
「……舞は何も気にすること無いわ」
「みーちゃんと出会って、仲良くなって、私嬉しかった……家族になれたんだって。でも、こんなことするなんて……」
「舞の為なのよ。大丈夫。全て終われば忘れさせてあげるから……今だけ辛いけど、もう少しだけ頑張って」
「忘れるって……友達が消えちゃって忘れられるわけがないよ!!」
「大丈夫よ。あの子達と出会う前まで記憶を巻き戻してあげるから」
き、記憶を巻き戻す……? そんなこともできるのか?
--う、ウチはできんぞ……っ? みーちゃんは力が強いからできるのかもしれん。脳の時間を巻き戻せば記憶も戻る……ということじゃろうか?
そんなの万能能力じゃねぇか!?
--ウチにそんなこと言われても……。
「ねぇ……もしかして、私のお願いのせい? だから、こんなことするの?」
ん?
「私ね。分かるの……舞の気持ち。大切な存在を失った時の気持ち。でも、舞は取り戻せるわ。私と違って」
--そうか。みーちゃんは……。
どうした? 何か知ってるのか?
--あ、ああ……それはの……。
「舞。ここに誰か来た?」
「え、来てないよ。どうして?」
「……私。舞のこと好きよ。だって分かりやすいんだもん」
「ど、どういうこと?」
「だって、あの3人をリープさせたなんて、舞に教えてないわよね? 誰かに聞いて欲しいと頼まれたのね」
マズイッ!
「ねぇ。お兄ちゃん?」
--リープするしかないのじゃ!!
あぁ! 2日……。
「逃す訳ないでしょ?」
足を何かに掴まれ、ベッドの下から引きずり出された。
か、髪の毛!?
視界が反転する。
みーちゃんから伸びた髪の毛で逆さ吊りにされる。
「お兄ちゃんはどうしようもないバカね。私が舞のことを見抜けないはずないじゃない。どう? 私の力のこと少しでも分かった? 絶望感が増えただけじゃないの?」
「やめてみーちゃん!!」
「ごめんね舞。このお兄ちゃんを消して欲しくなかったら今度は家で大人しくしてるのよ?」
「待って! みーちゃ」
みーちゃんが手をかざすと比良坂さんはその場から消えた。
「私の言い付けを守ったのね。偉いわ、舞」
「お前! 比良坂さんに何を!?」
「本当にバカね……私が舞を傷付けると思う? 昨日にリープさせただけよ。今頃、家のベッドで大人しくしてるわ」
--ジュン!!
カノガミ……すまんやっちまった。ちゃんとお前の言うこと聞いとけば良かった。
「じゃあ早速リープしてもら」
突然。
どこかから白い袋が飛んで来た。
「……っ!?」
みーちゃんが咄嗟に手をかざすと、飛んで来た袋が空中で止まった。
「何これ?」
みーちゃんが袋を見る。
「ロジンバッグって知ってるか? ピッチャーが使う滑り止めが入った袋。野球部の先生が持ってたのを拝借して来た」
誰だ? 保健室の外に誰かいる。逆さまの視界ではブレて上手く人影を捉えられない。
「ちょっと、アナタどういう…ケホッ!!」
立て続けに複数の袋が投げ付けられた。そのうちの1つがみーちゃんにヒットし、みーちゃんの体が真っ白い粉に染まる。
髪の毛の力が緩み、俺は地面に頭から落ちた。
いてて……。だ、誰が……?
「へぇ。停止できるのは自分で視認できる物だけみたいだな」
保健室のドアから女子が入って来た。
「しかも、悪霊視認用に持って来たつもりだったが……お前実体があるな?」
--コヤツは!?
扉から入って来たのは……。
夏樹の妹。
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