心機一転。なのじゃ!

第28話 1/3

「よっしゃああああぁぁぁ!! みんなを救うぜ!」


--おぉ!? やる気に溢れとるの! ジュン!!


 当たり前だ。昨日まで不安だったが、なんとかしてみせる! カノガミも着いてくれているんだ!


「まずは学校だな!」


--学校に行ってどうするんじゃ?


「比良坂さんを探す。そして、みーちゃんについて話を聞く」


--ちょっと待てジュン! 舞の所にはみーちゃんがおるかもしれんのじゃぞ!


「そこは恐らく大丈夫だ。」


--ど、どういうことじゃ?


「俺は昨晩、カノガミのぬくもりのせいで全く眠れなかった! だから夜通しで考え抜いたんだ!」


--なんじゃ!? あんなにプラトニックな夜じゃったのに! 「不安は無くなっていた」とか回想入れとったじゃろ!


 俺はなぁ。清く正しい青少年なんじゃいっ! 不安が無くなったら欲求が湧くじゃろがいっ!


--な、なんか吹っ切れとるの……。


「うるせぇ! 聞け! みーちゃんはあの日、。もし俺達のようにずっと比良坂さんと行動していたのなら、はずだっ!!」


--確かにそうじゃ! アヤツは力が強い。じゃから憑代から離れられるのかもしれん。


「カノガミが言ってたよな? 『力が戻れば見せたい相手に姿を見せることができる』って。だからみーちゃんは姿! だから独自で行動してるはずだ!」


--すごいのじゃ! 天才じゃぁ!!


「あぁ。犬山のマネをしてみたんだ!」


  待ってろみーちゃん。俺達にはなぁ。消えていたとしても繋がっている絆って奴があるんだぜっ!


「行くぜぇぇぇ!! カノガミィィィ!!」

--まかせるのじゃあああああ!!



 勢いよく家の扉を開けた。



「あら、また会ったわね」



 みーちゃんがいた。



  扉を閉めた。



「……」



 あれぇ? おかしいなぁ?



 扉を開けた。



「アナタには消えてもら」



 扉を閉めた。



 「……」


--……。


 ゴミ袋片手に扉を開けた。


「あ! ゴミを捨てないと収集車が来ちゃう♪ ちょっと通してくれるかしら♪」


--ゴミ収集車はす〜ぐ行ってしまうからのぉ〜♪


「あら、ごめんなさい」


 みーちゃんの横を通り抜けた。



「逃げるぞおおおおおぉぉぉ!?」


--うわああああああぁぁぁ!?


 全速力でマンションの廊下を走る。


「待ちなさい」


 みーちゃんが玄関にあった傘を投げ付けてくる。


 子供の力で投げられた傘は空中で既に勢いを無くしていた。


「はっ!! そんなしょぼい攻撃当たるかよっ!」



 しかし。



 みーちゃんが指を鳴らすと投げた傘が


 傘が俺の真横を銃弾の如く猛スピードで通り抜ける!


 ヒイィィィィっ!? 当たったら死ぬうぅぅぅ!?


--気をつけるのじゃ! 時のカミじゃぞ!? 物体の速度を上げるなんて余裕のはずじゃ!


 物体の速度!? そういやカノガミも……。


「突き当たりを曲がったらカノガミイイイィっ!!」


--な、なんじゃとおおぉぉぉ!?


 俺とカノガミは廊下の角を左に、手すりからジャンプした。


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