第19話 3/5

 昼食後、みんなで集まって勉強した。


 なんてったって勉強会という名目なのだ。流石に初日ぐらいは勉強しないとマズイだろう。


 そして、夕方まで勉強した後、芦屋の屋敷内を見学することになった。


「公開用に白水の歴史資料室もあるんだぜ」


 夏樹が得意気に屋敷内を案内してくれる。資料室にはこの町の成り立ちや郷土品等が展示されていた。ちょっとした博物館じゃん。


「来客を拒んでいたのになぜ来客用の展示があるんだ?」


 犬山が至極最もな疑問を口にした。そもそも、白水町の人間でここに入った人はいるのか?


「そ、それはだなぁ……ウチは芦屋あしやの分家なんだよ……だから西の本家の人間が来る時の為にあるんだ」


「え? 芦屋って本家とか分家とかあるんだ」


 そんなこと考えたこともなかった。


「ダメだなぁ〜ソトッち。この前教えてあげたでしょ? 『ここの芦屋は幕府によるカミサマ討伐の為に派遣された』って。そんな危険なことは当然、末端の人間がやるでしょ〜」


「そういうこと言うと秋菜が怒るからあんまり大きい声で言うなって! アイツ、芦屋であることに誇り持ってんだから!」


 夏樹が周りを伺うように言った。


「あの、私……さ、この土地のカミサマのこと、知りたいんだけど……」


「え? 比良坂さん?」


「あの、いや、ホラ、今の話でって言ってたから気になって」


 比良坂さんがオカルト方面の話に興味があるとは驚いたな。そういや、クラスの女子も七不思議の話で盛り上がったりしてるし、女の子ってそういうもんなのかな?


--コラッ!! オカルトとはなんじゃ! オカルトとは!


 お前のことじゃねぇか! そういや、カノガミって昔話ってしてくれたことないじゃん。俺も知りたいなぁ。


--ウーン。別にウチから話してもいいが、あんまり面白い話じゃないしのう。


 え? そうなの?


--じゃって、最後は芦屋に封印されました。おしまい♪ って言う話じゃぞ?


 あ、そうか。カノガミにとって昔の話はトラウマなのか。それを無理に聞き出すのも可哀想だな。


--まぁいい。ジュンが知りたいなら夏樹に教えてもらえばよい。ウチは寝るから終わったら起こしてくれ♡


 分かった。


「ではでは、私、小宮茉莉が資料を見ながら説明してあげましょう♪」


「いや、そこは俺が解説役でいいだろ!」


「なっつんはもっと古典のテストの点を上げてからリベンジしましょう♪」


「う……分かったよ〜」


 小宮がガラスケースに入った蔵書を指しながら解説を始めた。

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