カイ兄が帰って来る!?なのじゃ!

第16話 1/1

 蝶野先輩との件から数日後……。



 プルルルル。


--おーいジュン。電話鳴っとるぞー。


「わあってるよー」


 ……。


「たたたた大変だ! カノガミ! うぉっ!?」


 カノガミはリビングでテレビを見ていた。女性物タンクトップにショートパンツという明らかにラフな格好で。


「ちょ!? お前!? 青少年のいる家でなんて格好してやがる!?」


--なんじゃあ? ジュンもついにウチを意識するようになったかの♡ そうじゃったらそう言えばいいものを〜。そりゃもうウチだったら何でも……。


「んなわけない! ……こともないけどそれはやっちゃダメだから!」


--何を意味不明なこと言っとるのじゃ?


「そんなことより! カイ兄が帰ってくる!」


--な、なんじゃってええええぇぇぇ!?


 あぁ。ついにこの日が来てしまった……。


--で、カイ兄って誰じゃったっけ?


 あ、そういやカノガミになんの話もしてなかったな。


「カイ兄……外輪開成そとわかいせいは俺のおじさんで後見人なんだよ! 長期出張に行ってたんだけど戻って来るって!


--えぇ……戻って来たらどうなるのじゃ?


「カイ兄が一緒に暮らすってことは……」


--ゴクリ。


「もうこんな自堕落な生活ができないってことだよおおおおぉぉぉ!!」


--な、なんじゃと〜!? それじゃあもう、好きな時間にマンガは読めない。深夜までゲームできない。休みは昼まで寝て過ごせない。人目をはばからずジュンとイチャイチャできないのか!?


「ん? なんか最後事実とは異なる事象が含まれていたような……とにかく!! そういうことだ!!」


--そうじゃ! タイムリープじゃ! 1ヶ月前にタイムリープしてもう少しこの生活を味わおうぞ!


「1ヶ月前……? それって、もう一度小宮と一緒に死にかけて」


--そうじゃ。


「もう一度モギオ君を除霊して」


--そうじゃ。


「もう一度電柱から落ちて」


--そうじゃ。


「もう一度蝶野先輩に襲われろってことか?」


--そうじゃ!


「嫌だああああああぁぁぁ!?」



 プルルルル。



--お、ジュン! また電話じゃ!


「カイ兄かな?」


 ……。


「カノガミ……」


--ど、どうじゃった?


「カイ兄がいる事業所、補充される予定の人が辞めちゃったんだって!」


--つ、つまり……?


「こっちに帰ってくる予定無くなったってさ」


--た、助かったああああああぁぁぁ。


 カノガミが大袈裟にへたり込んだ。目のやり場に困って視線を逸らした。



「……でも、いつかカイ兄も帰って来るんだよなぁ。自堕落な生活はともかく、カノガミ隠しながらの3人暮らしは大変だぞ」


--大丈夫じゃ! ウチが力を取り戻したらジュン以外の人間にも見えるよう、好きに姿を現せる。そうなりゃ人間として振る舞えば良い!


「人間として振る舞うって?」


--カイセイとやらが戻って来るまでに力を取り戻して『ウチがジュンのフィアンセじゃ! 同棲してまーす♡』と紹介してやろう。そうすれば隠し事も無くなるじゃろ!


「いや、それだけの力を取り戻すのにどんだけ俺の寿命吸うんだよ」


--あ、内容は否定せんのじゃな。


「あ、いや、その、嘘なんだから別にいいだろ!? とにかく! どれくらい寿命いるんだよ」


--うーむ。総計5年ってとこかの♡



「嫌だあああああぁぁぁ!!」



 俺の寿命5年でカノガミがみんなに見えるようになることが分かった。



◇◇◇


遭遇編。完だよ。


逢着ほうちゃく編へつづくから。






ちなみに。



逢着編24話からの展開……。




覚悟しておいた方がいいよ。



 ……。



 初めまして。もしくはどこかで会ってる?



 私はね。



 探しものをする為にからこの章へやって来た。



 第1話をね。見に来たの。すごく大切なことが描かれてるから……。



 またね観測者さん。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る