第15話 3/3

 「きいいいぃぃぃ! そんな面白そうなことがあったのにぃ!」


 小宮が悔しさを滲ませる。


「だって。1人の男子の人生に関わることだぞ? 安易に記事にしちゃいけないだろ」


 あの後、なんとか必死にあの現象を社会的抹殺陣説明した。……まぁ口から出まかせなんだけど。


 体育倉庫を追い出され、行き場を無くしたモギオ君が、女子に囲まれる蝶野先輩に嫉妬して服を引きちぎった……ということにしておいた。


 当然疑われはしたが、カノガミに学ランを着せて夏樹に写真を撮って貰った所、見事にそれらしい心霊写真が出来上がった。それを全員に見せ、なんとか信じてもらうことができた。


--ほうほう。学ランもウチが着れば可愛くなるのぉ! なぁジュン?


 カノガミは学ラン姿が随分気に入ってらしく、人間態で部室をウロウロしていた。


 すまんモギオ君。俺が言うのもなんだが、どうか安らかに眠ってくれ。


 蝶野先輩も被害者ということで、なんとかお咎め無しとなった。


 先輩は去り際にこんなことを言っていた。



「外輪君……君というヤツは……僕はただ、君と2人でになりたかっただけなのに……」



 そういえば……。バス停で蝶野先輩と会った時のセリフって……。



「君、僕と()組まないかい? 君と僕の力があれば白水中、いや、近隣全ての中学()を意のままにできる」


 ……。


 なんてややこしい言い方をする人なんだ!!


--キザったらしい男じゃったし、これに懲りてちょっとは大人しくなるじゃろ?


 お前が言うなっ!!



 罪悪感に胸が張り裂けそうだった。



 それにしても、みんな無事(蝶野先輩以外)で良かった。カノガミが「やり合えば無事じゃ済まない」なんて言うからビビってたよ。


--ああ。そのことなんじゃけど。


 ん? どうしたよ?


--あの男はウチが言った力の持ち主じゃないぞ。あまりに弱すぎたしの。


 ……え?

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