七不思議は怖いのじゃ!
第7話 1/2
「今回のタレコミはコレ!」
小宮が部室のPCを見せてきた。
小宮が勝手に作った白水中学公式掲示板。そこには日々、匿名の悪口からウワサ話まで、下世話な話題で盛り上がっている。
「すっごい書き込みがあるの! これを見て!」
小宮が該当の書き込みを指差した。
--どれどれ『3年生の
「そっちじゃねぇ!?」
「どうしたんだ外輪?」
夏樹が不審そうにこちらを見た。
クソ。カノガミが1つ上の書き込みを読むからつい反応してしまった。
「いやいや〜つい他の書き込みに目がいっちゃって」
「もう真面目にやってよ! ソトッちー」
「ええと。『今日、掃除時間中に体育倉庫でモギオ君を見た』? モギオ君って白水中学七不思議の?」
--モギオ君って誰じゃ?
白水中学には七不思議があるんだよ。その中でも「体育倉庫のモギオ君」はかなりレア。特定の女子生徒ばかりを狙うとウワサされている霊で、遭遇すると、酷い時には怪我をさせられるって話もある。
--ふぅん。なんか陰湿なヤツじゃの。
お前もかなり陰湿だけどな。
「コレを書き込んだ吉田さんにはもう約束してあるから、なっつんとソトッちは調査よろしくぅ!」
◇◇◇
「ここの扉の右奥です。私が入ってすぐ扉が閉まって……」
「何かされたの?」
夏樹の質問に吉田さんは肩を震わせた。
「急に扉が開かなくなって……それで……金縛りみたいに体が動かなくなったの。姿は見えなかったけど、体中の匂いを嗅いでる感じで……すごく気持ち悪かった」
事件当時のことを思い出してしまったのか、吉田さんはとうとう泣き出してしまった。
夏樹が体育倉庫に入ってデジタルカメラで写真を撮っていく。
「どうだ? 何か写ったか?」
「ちょっと待てよ〜。お、コレだ!」
デジタルカメラのモニターにボヤッとした黒い影が写っている。それは吉田さんの言っていた通りの位置に佇んでいた。
「コイツがモギオ君……」
「もっと沢山被害に遭いそうなもんだけどな」
夏樹は腕を組んでボヤいた。
「特定の女子だけ狙うってウワサだっただろ?」
--なんだか探偵みたいじゃの! カノガミサマの名にかけて真実はいつも1つ!!
どこで覚えたんだよそんなセリフ!?
--ジュンの好きなマンガじゃ♡
しかし、なんでこの吉田さんだけが……。
「ねぇ吉田さん。辛い所ごめん。霊は何か言ってたりしなかった?」
「えと、『よしだぁ……』って低い声が聞こえたよ」
吉田さんの涙で腫れた目が痛々しい。
なんだか、かわいそうだな。この子は何も悪いことしてないのにトラウマを刻まれるなんて。
……。
おい。カノガミ。
--うん? どうしたのじゃ?
タイムリープするぞ。
--ま。
ま?
--マジのガチなのか!?
ああ。掃除時間だから2時間前だ。
--うああああああ!! ジュン好きじゃああああ!!
ちょ!? うるせぇぞ!?
--照れるな照れるな♡ 今日はウチが抱きしめて眠ってやるぞ♡
色んな意味で眠れなくなるからやめてくれ……。
--よし。気を取り直して。いくぞ?
首筋に細い指で掴まれる感触が伝わる。
ああ。やっぱり車に轢かれた時もこうやって掴まれていたのか。
そう考えた矢先。
俺の意識はものすごい力で後ろへ引っ張られた。
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