第6話 2/2
「はぁ……疲れた」
なんで登校だけで寿命縮むような思いをせにゃいかんのだ。
--なぁなぁジュン。
なんだよ?
--疲れたからしばらく寝るのじゃ。家に帰るかタイムリープする時に起こしてくれ。
マジ?
--健康の秘訣は20時間睡眠じゃぞ。授業っていうのもつまらなそうじゃし。じゃ、おやすみ〜。
……。
声がなくなった?
やったああああぁぁぁ! 自由だあああぁぁ!
まさか授業がこんなに嬉しいとは……。
「よ! 外輪!」
教室に入るとクラスで一際背の高い男子、幼馴染の
「おぅ夏樹」
夏樹が顔を近づけきた。
「ちゃんと鍵閉めてきたよな?」
「大丈夫だって。心配すんな」
「あそこは本当に危ないカミが封印されてるって聞いてるからさ、バレたらタダじゃ済まないんだって! 俺はそんなヤツ信じてないけど」
「んん?」
そういや小宮もなんか言ってたような……。
うーん今の所、カノガミはバカなだけだよな? 寿命は奪おうとしてくるけど無理矢理じゃないし、そんなに危険な感じはしないなぁ。
「え、何その反応? まさか封印解いたりしてないよな?」
「ソ、ソンナコト、スルワケ、ナイジャン。ハハハハハ……」
夏樹が訝しげにこちらのことを覗いてくる。
「そ、そんなことよりさ、小宮に脅されたんだって?」
「あぁ……そうだよ。俺ってさ。一応、妹から尊敬されてんだよね。アレをバラされた日にはもう芦屋家に俺の居場所は無いね〜」
「お前、一体どんな趣味を持ってるんだよ」
◇◇◇
放課後。
あぁなんと素晴らしきかな学校生活よ。
授業も昼休みも、俺は今までこんなに1人の時間を生きていたんだなぁ。
誰かの声が四六時中聞こえているだけでこんな幸せすら失うとは。今までなんで忘れていたんだろう?
これは帰るまでカノガミは起こさない方向でいこう。
「夏樹! 帰りどっか遊びに行こうぜ!」
「おぉいいぞ」
これからが本番! 楽しい放課後ライフの始まりだぁぁぁ!
勢いよく教室のドアを開ける!
そこには小宮が立っていた。
「ソトッち! なっつん! 今から」
扉を閉めた。
……そうだった「なんで忘れていたんだろう?」じゃねぇよ。俺の学校生活は小宮に支配されてたんじゃねぇか。小宮の言うままにアレコレ手伝わされてたじゃん。
いや、待てよ? もしかしたら、さっきの小宮は見間違いかも知れない。そうだよ。きっとそうだ。
「よっしゃ! 帰るぞ!!」
勢いよく扉を開けた。
「ソトッち! なっつん! 今から」
扉を閉めた。
やっぱり本物だったわ。
ここは扉を抑えてなんとかやり過ごそう。
!?
向こう側からものすごい力で扉が開かれようとしている!
ダメだ……っ! 全く抑えていられない!?
抵抗虚しく扉は開かれた。
「ソトッち! なっつん! 今から部室集合ね!」
そうだよ。俺は小宮の作った部活に無理矢理所属させられていたんだった。
「情報部」に。
◇◇◇
「それでは! 今から緊急会議を始めます!」
小宮の作った情報部。
それは「学校新聞」を作るという名目で作られた部活。
しかし、その内容は生徒達の恋愛事情からオカルトまで、週刊誌も真っ青な俗な話題で埋められていた。
活動実体に疑問を持った生徒指導の教師に潰されかけたことがあったが、小宮がその教師を2週間に渡り張り込み続け、彼が夜の店に出入りしている姿を激写。
以後、生徒指導教師は小宮の傀儡として我ら情報部を守り続けている。
部室の会議用テーブルには椅子が4つ。部長の小宮。俺、夏樹、あと……。
「あれ?
「犬山くんは今別件で動いて貰ってるよ♪」
「今回はなっつんがメインかなぁ」
芦屋夏樹。俺らの幼馴染。オカルト案件担当。しかし、本人は霊感が無いと否定している。それなのになぜか、夏樹が撮る写真は高確率で心霊写真になる。
「ソトッちは助手ね♪」
そして俺。外輪準。雑用、助手、手伝い係。……自分で言っていて悲しくなってきた。
--そう自分を卑下するでない! ウチがおる限りジュンは今日からスーパースターじゃ!!
俺の中から内なる獣が目覚めたようだ。
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