解放され往く夜へ

 辺りはすっかり暗黒。

頼るはぽつぽつとある街灯のみ....

と言っても夜目がそこそこ効くので、

余り問題は無いのだが...

分からないものは分からない

「そこの人〜ちょっと道を教えて欲しいのだが」


「おーい、ちょっと...」


「お嬢さーん君しかいないでしょー」

そう言いながらトンっと

真っ暗で何も見えないが....銀の髪の旅人が

話しかけた少女の肩に手をのせる。

だが、ビクッ!

と驚かれてその少女は逃げ去ってしまった。

「あちゃあ...良くなかったかな」

少し焦っていたのもあり、また後悔が増えた。

そんな女性、彼女の名はシュネー...旅人だ。

今暗い森のなかを彷徨っている....

というのも、本当に宿が取れなかったのだ。

そのまま低所得エリアまで来てしまい、

一番端の小さい山を登ってしまった訳だ....

ここにキャンプ場があるのは確認済み。

なので......シュネーは覚悟を決めた。


 翌日、下山.....。

下山する途中に不思議なものを見た。

紅いペンキで人殺しと書かれた小屋...

寄ってみればそれは古代異装掘り出し物の店だった。

そういえば、引き車的なものを、

まだ見つけてはいない.....。

その上、こんな辺鄙な所に店を出している...

何かあるに違いない...とドアを開けた。

ドアのベルが鳴った...

と同時にL字に曲がった何かを隠すのが見えた

だが、敢えて触れずに....。

「すみませーんジャンク屋ですかー」

「.............あ、はい...そうです。」

「こう引っ張ってモノ運べる奴ないかなって...昨日の!」

「えっ......!?」

その店主は昨日逃げられた少女だった。

逃げられた少女っていうのもあれか?

先述通り夜目が効くから、顔は覚えていた。

あちらは銀の髪で覚えてるだろうか?

「無視とは酷いじゃないかー」

「ッ....。」

「ん...いや...怒ってないからね?別に殴ったりしないからね?ほらほら深呼吸してさ...お仕事よ?」

少女は言った通り素直に深呼吸。

どうやら落ち着いたようだ.....。

「あの...すみませんでし....た.....。」

「いやぁー大丈夫大丈夫、急に肩トンやったのが悪いはあるからねぇ」

シュネーは....ちょっとした、

精神的な疲れを悟られないように、

晴れ渡る様な元気さで会釈した。

まだまだ弱いな...と思った。


 結局、自分が探していたようなモノは、

この店には見つからなかった...。

さて、あと明日でこの国とはおさらばしよう。

ここまで無いとやっぱレアなんだろうな、

そうだ...聞くことがあった......

ちょっと遠巻きに仕掛けてみるか.......。

「そういえばだ...この国の宿は高級ホテルしかないのかな.....?」

「...そうですね昔は山の中に幾つも旅館があったんですけど....。僕の家は元々その跡地に色々持って来て作った文字通りのゴミ屋敷ですが....」

「ほう....」

上手くかかったと...にやり、笑みを浮かべる。

「では見せてもらおうかな...文字通りのゴミ屋敷をね!」

「え......





 えぇ──────ッ!?」

「え、だめ?』」

そういう訳で.....少女の家にて。


「はい、僕の...家です。」

「これは何とも...」

「泊まる何て事は....。」

「いや、野宿よりはマシだが...」

「マシって...。」

「それより、泊まるなんて言ってないぞ?」

またにやりと笑うと、

「あっ.....」

その子はすっかり赤くなった。

居室に上げて貰うと...紅茶を出された...。

チャノキが、至るまでの坂にあったので、

恐らくそこから得ているのだろう。

めっちゃ甘い....嬉しい。

風呂も使わせてくれた...

これは泊まって良いやつだ.....

是非そうさせて貰おう、それが礼儀!

え?仕向けたって?はて、ナンノハナシカナ....

先に入った少女と入れ替わりで風呂に...

しっかり沸かされた熱々の湯船。

浴槽に溜めているという事は、

この国は湯に浸かる文化圏なのだろう。


 さて、すっかり温まった身体を...

とんでも無く良い匂いが襲った.......。

「夜ご飯.....作りました....けど。」

「ふふっ....勿論頂こう......」


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