折悪し:普通の国

 ある日のこと。

とある女性が城壁をくぐった。

銀の髪、パステルピンクの瞳...

猫のように細い瞳孔を持つ。

その女性の名はシュネー...旅人だ。

ゆったり進み続け半日。

午後を過ぎた太陽は地に沈む準備に入る頃...

「........」

先ずは第一印象。

石タイルの道に三四階建ての建築物...。

ガス灯が定期的に並び、

ロングコートが似合いそうな街並み....!

とてもいいと思う!

所謂魔法使い系の街である。

ギルドが関係してくると、

迫力満点で、8階建ては序の口の

高層石造ビルがある事もあるが、

魔法協会系は中々にオシャレな家を建てる。

だが...

三大勢力の内の一つである、

魔法協会の息がかかっている場合は....

少し警戒して街を歩かねばならない。

シュネーは魔法協会に命を狙われている。

油断すれば暗殺しようとするだろう。

だが偽名でなんとかなる事が多い....

どんと構えて練り歩けば何も問題は無い

この時は指定のホテルでは無く、

自分で探した方がいい。

強制されているわけでは無い為、

失礼だが誘いを断っても大丈夫だ。

本日の宿は普通に生活できそうなホテルで、

普段よりしっかり高い。

その分...客の安全とprivacyに尽力してくれる。

シャワーを浴びて、バスローブ、そして羽織。

よくもまぁ何も履いてないような状態で

胡座なんかけるものだ。

え?誰も見てないからセーフ?それもそうか。

ベッドの上でそのままマップを取り出す...

「ふーむ...」

広い道をなぞり、国全体を周る事にした。

マップを畳んで床にん投げると、

掛け布団にくるまって寝た。


 そして日が昇り空は薄い青を取り戻す。

妙に広い部屋に改めて驚き、

朝食を取りに街へ向かう。

パン屋が大通りにあるのは知っている。

しかしそういう店はやはり行列ができる。

着いてみれば案の定行列ができている...が、

とんでもない大行列って程でも無い...。

妥協して並ぼう。

そして列に加わったものの、

中々に列は進まず.....。

だが時は来た、遂に入店...!

しかし!

残っているのはカット前の2斤の食パン!

あとクリームパンとエピパン....

あ、今売り切れた。

昼まであと1時間...

気づけばかなり時間が経っている...。

読み違いだったか....。

今日は乾パンで済ませようか....

店を出てある事に気付く、

とある香りが鼻腔を優しく突いたのだ。

香ばしい小麦の焼ける香りだ....

その元は勿論、

「げぇ....」

先程のパン屋が焼き立てを繰り出した!

しかし再び入ろうにも並び直しだ....

頭を掻きながら独り立ち去った。



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